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AI通信「こんなとこにも人工知能」

       

Anton Havelaar / shutterstock

酪農・畜産業における人工知能のユースケースが着々と増え始めている。すでにポピュラーになりつつある使い方としては、「疫病の早期発見」や「飼育工程管理」「発情期・妊娠の早期察知」などがある。

家畜に取り付けられたウェアラブル端末や、厩舎内のカメラ・センサーから得られたデータ(体温、体重、動作パターンなど)を人工知能で解析。人間の目では見逃しがちな兆候を把握し、リスク管理や生産性向上に繋げようという試みだ。それらは時に、「データ畜産」「家畜のヘルスケア」などと表現されることもある。

一方、死亡した家畜を発見するため、画像解析技術を用いるケースも登場している。マルイ農業協同組合とNECは、鶏舎で死亡した鶏を早期発見するための「斃死鶏発見システム」を共同開発している。鶏の健康管理や鶏卵の品質を維持するために死んだ鶏の早期発見は非常に重要だが、これまで自動化されておらず、人間のスタッフが目視で行うしかなかった。

大規模な養鶏場であればあるほど、作業スタッフの負担は大きくなるしかない。そこで同ソリューションが登場したというわけだが、実証実験で90%以上の高精度、また検知時間を5分の1にまで削減したとの成果が報告されている。実用化の目標は2020年だ。

養豚王国での活用が面白い

同様の話題で言えば、中国保険大手・平安保険が養豚業者向けに展開しているサービスも興味深い。

同社では、死亡した豚が農家の所有物か否かを判定するため画像解析技術を用いている。養豚業者が事前に画像を登録しておいて、家畜が死亡した際に写真を撮影して送る。すると保険会社側が画像を分析して、同一の豚だと判断した場合にのみ保険金を支払うという仕組みだ。

要件となる家畜の死因などはどう判断されるのかという点については疑問が残るが、保険会社側にとっては調査員を派遣するコストが省けるなど、経費削減効果が期待できる。一方、養豚業者にとっては迅速に保険金が支払われるというメリットがある。

ちなみに中国は、世界最大の“養豚王国”でもある。全世界の酪農・畜産農家が飼育している養豚のうち、約半数にのぼる約7億匹が集中しているという。そのためか、IT大手・アリババや、上記の平安保険など大手企業も人工知能やマシンビジョンを使ったシステム開発に乗り出しているという背景事情がある。

中国と日本の酪農・畜産業の現場と事情は異なるかもしれないが、人間の目が届かない、また人間には見ることができない家畜のデータを解析するという用途において、人工知能が果たす役割は共通している。日本の酪農・畜産業が抱える課題を解決するために“カスタマイズ”されたアイデアが出てくることを期待したい。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
過去記事はこちら>>

文=河 鐘基

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