ベビーブーマーの子ども時代は、買い物といえば「街の商店街」だった。その後、ショッピングモールやオンラインショッピングが台頭した。各ブランドはこうしたベビーブーマーたちをターゲットにしているため、店舗の形式や品ぞろえ、情報テクノロジーなどを、彼らに合わせて進化させてきた。
このところ、ミレニアル世代が小売体験に利便性や柔軟性を求めていることや、それが小売業界にどのような影響を与えているかについて話題にされることが多いが、ベビーブーマーが小売業界に強い影響力を持つ理由についても、説明する価値は十分あるだろう。
Visaは2016年のレポートで、60歳以上の消費者は、今後10年にわたって、米国の個人消費額の成長に影響を及ぼし続けると予想した。人口だけを見ても、60歳以上の消費者の数は、数年前と比べて増加している。さらにベビーブーマーは、それまでの世代と比べて引退が遅く、借金が多く、旅行や嗜好品への支出が多い。
しかし、ベビーブーマーの生活と支出のスタイルは素早く変化するため、小売店は即座の対応を強いられている。
例えばベビーブーマーたちは、大きな家から小さな家へと住み替えている。さらに米国勢調査局によれば、2017年、面積約130平方メートル以下の新築一戸建て住宅の販売数は2万1000戸で、前年の1万7000戸から大幅に増えている。約130~165平方メートルの新築一戸建て住宅は、7万9000戸から9万戸に増加した。こうしたトレンドだけでも、家具や小物を扱う小売店やホームセンターには影響がある。
以下では、人口動態の歴史的な変化をチャンスに変え、ベビーブーマーの心をつかもうとして努力する小売業界の具体例について、いくつか紹介しよう。
フレンドリーな店舗スタイル
住宅が小さくなると同時に、そうした住宅に住む人たちを対象とする店舗のサイズも小さくなっている。これまで、都市部に住む人たちはスーパーマーケットに通うものだったが、ベビーブーマーのような新しい住人が加わった結果、より小さな食料品店の人気が高まっている。
さらに各店舗は、店内のサインやレイアウトなどを変えることで、物理的なアクセシビリティを高めようと努めている。例えば一部のチェーン店は、棚の高さを下げたり、薬のラベルの文字を大きくしたりしている。店内にヘルプボタンを設置したり、杖や車椅子の人が通りやすいよう、広い通路を作ったりしている店舗もある。