自動運転車などのテクノロジー実験
モビリティー技術の革新により、各地の小売センターが自動運転車を検討し始めているが、米国人の過半数は自動運転車に抵抗を感じている。例えば、米自動車協会(AAA)が5月に発表した調査結果によれば、車を運転する人のうち4分の3近く(73%)が、完全な自動運転車には不安を感じ、乗りたくないと考えている。
それでも、公道を走る自動運転車に人々がもっと慣れるようになれば、こうしたテクノロジーでベビーブーマーが得られる利点は明白だ。アリゾナ州では現在、複数の小売店が、グーグルから分社化したウェイモと提携してテストを行っている。買い物客は、自動運転のバンに乗り、フェニックス周辺の店舗を回ることができるのだ。自動運転車があれば、こうした買い物だけでなく、ベビーブーマーが運転できなくなった場合にも、医者や社交的な集まりなどに行く手段になる可能性がある。
品ぞろえとサービス
小売店各社は、ベビーブーマーたちのニーズを正確に反映させようとして、商品やサービスを細かく見直している。その一例が、ペンシルベニア州に本拠を置くデパートチェーン、ボスコフス(Boscov’s)だ。ボスコフスは最近、一部の高齢者のニーズを満たすため、補聴器売り場を新設した。
ベスト・バイは、デジタル高齢者介護サービスのテストを行っている。高齢者の自宅にスマートホームデバイスを設置すれば、離れて暮らす家族がセンサーで見守ることができるというものだ。J.C.ペニーは、ベビーブーマーに支持されていたプライベートブランドを復活させ、アパレルラインの刷新を進めている。
人々の寿命が延びていることは、人口動態に複雑な変化を与えており、ベビーブーマーはこうした変化の最前線にいる。2014年から2024年の間の就労率で見ると、ベビーブーマーは、ほかの世代と比べて就労率が最も急増すると見られている。またベビーブーマーは、ほかの世代よりもファストフードの消費が多い。
さらに、収入が固定される年金生活に移行するため、お得な買い物を求めるようになる。つまり、ミレニアル世代に比べて、値引きやキャッシュバック、送料無料を重視するということだ。
もうひとつ重要なことがある。ベビーブーマーは、ほかの世代と比べて、実店舗での買い物を最も好むのだ。つまり、小売店にとっては、条件さえ合えば喜んで購買力を行使してくれる忠実な顧客層と言えるだろう。