世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


コインチェック買収の裏側

──グローバルブレインなどの投資家から出資を受けています。どのような点が気に入られたと思いますか?

正直、ノリや勢いですね。起業家は普通の神経ではやってられない。delyの堀江祐介くんは30億ものお金を使っている。何人かの人生を一生保証できるような金額を使っているわけですよ。ある意味、才能ですよね。

僕にもそういう要素があると思われているんじゃないかな。

──特にマネックスグループの松本大さんと親しいと聞きました。

松本さんとは、もともと個人的に仲良くさせてもらっていて。ご飯を食べながら新しいサービスを教えたりしています。まあ、大半はくだらない話ですが(笑)。松本さんは、「この2年間で会った人間の中で一番面白い」と言ってくれている。ある種のオモシロ枠ですね。

多くの若手起業家は松本さんは「怖い人」と思い、接しづらい印象を抱いているかもしれませんが、それは勘違いですよ。彼はいろんな人と会いたがっています。その中で飛び込んで、「すごいですね!」と話せたから僕は評価してもらえた。

──大山さんが「いまの金融はもっとテクノロジーを取り入れなければこのままじゃマズイ」と松本さんに説いたと聞きました。

松本さんはもちろんすごい人ですが、近年はちょっと攻めの姿勢が足りないと思っていて。それで色々話しているうちに、何やらスイッチを入れてしまったみたいです(笑)。会社として新しい事業に取り組む必要があると感じたのではないでしょうか。

そもそも松本さん自身、テクノロジーは大好きで、ひとりでパソコンを組み立てているタイプの人です。コインチェック買収時に「数年前からマイニングをしていました」と話していましたが、それを教えたのは僕です(笑)。



彼は若者にパワーがあることを知っています。そんな人がたくさんお金をもっていて、しかも協力したいと思ってくれている。若者側も怖がらずにどんどん会いにいくべきですよ。

僕は出資をお願いする際も、相手の決断が遅いと「じゃあいいですよ」と自分から断ることもあります。すると後から「やっぱり5000万円増資させてくれ」と言われたり。それぐらいの勢いでいいんですよ。

ルールに縛られない、起業家の「エンタメ枠」になる

最近、変だなと思っているのは、スタートアップが固定観念に縛られるようになっていること。創業したら生活費は月15万円で耐えるべき、増資したら株主に気を使ってピボットすべきではないなど、いろんなルールができている。

起業家がエリートサラリーマン化していて、堅苦しいんですよ。

──「売り上げがいくらくらいになればイグジットできる」など、起業家が成功するためのフォーマットができ上がっているとよく聞きます。

そうなんです。いま、同い年の起業家はキュレーションメディアを立ち上げてばかり。MERYなどの先陣を切った企業はすごいけど、後発企業はある種の成功パターンにのって会社を成長させ、1年で売却して10億円稼ぐだけ。とにかくつまらない。

僕がなりたいのは、「ルールに従わない」枠の起業家です。もっと起業家にはいろんなタイプがいていい。delyの堀江くんのような一生かけて事業に注力するタイプもありだけど、そういう美徳とはまた違ったタイプになりたい。

キーワードは「じゃあ辞めます」のビッグマウス型。いつか株主に利益を還元するのは前提だとしても、そこに至る道はたくさんあっていいと思うんです。

「世の中を変えたい」なんて動機だっていらないじゃないですか。いまは起業家がみんな、同じようなことばかり言っていてつまらない。楽しいからやる。清貧なんて無視して、遊びまくる。事業もやるし、フェラーリにも乗るし、飲み会もガンガン盛り上げる、みたいな。まぁフェラーリ持ってないんですけどね(笑)。

起業家のエンターテイメント枠になりたいんです。実際、飲み会で面白いことを言える力も大切だと思います。小さなヒットじゃなくて、とにかく大きなことを言ってホームランを狙う。

僕がやらなきゃ誰がやるんだ、くらいに思っています。僕は周りの先輩に良い人が多くて、正直、環境に恵まれている。それこそ、もし三振しても誰かが何らかの形で助けてくれるかもしれない。だからこそ、常に全力でバットを振り切るべきなんですよ。

文=野口直希 写真=小田駿一

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい