アクロン大学のマシュー・J・ウィルソン前学長は、2017年にeスポーツプログラム創設を発表した声明文で、こう述べている。「アクロン大学とその学生がeスポーツプログラムの創設によって得るものは非常に大きい」「eスポーツを受け入れることで、本学はトップレベルの学生を引きつけ、学生が学業面、社会面、職業面で花開く道を提供することができる」
この計画には反発もあった。全米大学教授協会(AAUP)のオハイオ支部は、アクロン大学は学業よりゲームを優先させていると苦言を呈した。同支部のジョン・T・マクネイ代表はアクロン大学に対する書簡で、「まるで、『教育には飽きたから、代わりにゲームしよう』とでも言っているかのようだ」と記している。
こうした論争を尻目にeスポーツ推進を続けているのは、アクロン大学だけではない。eスポーツの盛り上がりに伴い、その人気に乗じようとする動きも活発化している。
サザン・ニューハンプシャー大学ではこの秋、新たにeスポーツプログラムが始まる。アッシュランド大学では今年、対戦ゲーム「フォートナイト」のプレイヤーに奨学金を出すと発表した。ゲーム競技のプレイヤーに資金援助を行うプログラムは既に数十存在しているが、スポーツ専門チャンネルESPNによれば、同ゲームを対象とした奨学金はこれが初めてだ。
2016年に設立された全米大学eスポーツ協会(NACE)によれば、米国とカナダではeスポーツプログラムを持つ大学が80校以上ある。同協会に参加する大学では、計1500人以上の学生ゲーマーが総額900万ドル(約10億円)の奨学金を得ているという。
NACE会員大学は、「リーグ・オブ・レジェンド」、「オーバーウォッチ」、「フォートナイト」といった人気ゲームで大学対抗戦を行っている。各大学は、近年急成長を遂げている潜在市場に参入すべく、eスポーツプログラムに投資しているのだ。