旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」


初ワークショップを終えた西村は、アート思考ワークショップを日本のビジネス界に展開する可能性を感じているという。ワークショップに参加したビジネスパーソンも、アーティストも、アート思考を通じての今後の互いのコラボレーションに関心が高まっているそうだ。

「ビジネスからは遠いと思われがちなアートに、ビジネスパーソンがなぜ興味を持つのかと言うと、アートやアーティストのコンテキストに、ビジネスでも活用できるヒントがあると気づいたからです。例えば前述のデュシャンのエピソード。現代美術の流れを作ったこの行為から、『どのシチュエーションで、どのようなコンテキストでプロダクトを市場に打ち出すか』を学ぶことで、破壊的イノベーション、新たなコンテキストを生むヒントを習得することができます」と西村は説明する。

また、「アート思考を取り入れることで、問い続ける人、自分で考え発言・行動する人が増え、多様なアプローチが生まれる面白い世の中になると信じています」という西村は、世の中を自分の尺度で図ることができ、自ら問いが出せる自立した人が増え、多様な意見が交わされることで、この閉塞感から抜け出せるのではないかと考えているという。そこでカギとなるのが、アート思考だ。

「誰かがデザインした仕組みの中で自分を諦めてしまうのはもったいない。ポジティブな破壊を行うためのツールとして、『ありえないを生む』アート思考ワークショップは、お利口さんが多い日本では有効だと考えています。お利口さんだけじゃつまらない。もっとポジティブにクレイジーなアプローチをする人たちが増えることを願っています」

現状を変えたいと思ったら、まずは自らが疑問を持ち、周りから「クレイジー」だと思われるぐらいの発想とエネルギーで行動することが重要だ。アート思考は、社会的インパクトを生み出す、新たなデモクラティック・ツールかもしれない。

文=MAKI NAKATA

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