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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」


ビューロゥのワークショップは、ドイツやフィンランド、スペイン、カナダなどで開催され、いま、米国でも注目されている。

アップル社のイノベーションの鍵でもある「デザイン思考」を取り入れた起業家支援講義を行うスタンフォード大学のチャック・イーズリー准教授は、問いを作れる起業家を生み出す方法を模索するなかでビューロゥのワークショップを紹介され、スタンフォードでも今年秋から導入することを決めた。

HEART CATCH代表でMistletoeメンバーでもある西村は、スタンフォード大学出張時に偶然アート思考ワークショップの存在を知り、その後パリに飛んでワークショップを受講。同じくMistletoeメンバーの奥村直子、飯田さやかとともに「アートシンキング・コレクティブ」を立ち上げ、日本での展開を推進している。7月末には、イーズリー、ビューロゥの両教授を招き、3日間のワークショップを初開催した。



アート思考ワークショップ(Art Thinking Improbable Workshop)とは、アーティストが作品を生み出すプロセスを参考に開発されたフレームワークだ。自分が情熱を持って打ち込める問いやテーマを掘り起こし、逸脱、破壊、漂流を経て、アート作品として一般展示するまでが一連のプログラム。最終的にオーディエンスからの批判を受けるという部分も、アートの世界に倣っている。

講義やフィードバックでは、「コンフォートゾーンから抜け出せ!」というメッセージが繰り返される。具体的なプロダクトやマーケットについて考えても良いが、そこから逸脱し、破壊することを促される。

「私自身もアート思考ワークショップを受講して衝撃を受けました。面白かったのは、自分に“新たな視点”が生まれたこと。前にならえ!の画一的な思考からの逸脱を日々意識していると、世界が違って見えてきます」と西村。

風刺を込めた「リアル・ティンダー」

今回のワークショップには、異なる企業に勤める社会人や現役のアーティストなどが参加。3〜4人でグループが構成され、それぞれにシェアリングエコノミーやビットコイン、サステナビリティといったテーマが与えられた。最終的には、テーマをど真ん中に扱ったもの、逸脱したものを含めたアート作品が作られ、ワークショップの最終日に、そのお披露目も兼ねたレセプションが行われた。



例えば、シェアリングエコノミーのテーマに取り組んだグループは、本来は経済的なものではないシェアという概念が、シェアエコノミーの台頭によって、金銭的な対価に紐付いた概念になりすぎてしまっているという点に着目。金銭的な見返りを期待せずに自らの顔をシェアするアンパンマンを用いた「Do you $hare?」という作品を発表した。

サステナビリティ課題に取り組んだグループは、ファストファッション、ファストフードといったトピックから派生し、ファストな「関係性」から出会い系アプリ「Tinder」を風刺した、「Real Tinder」という作品を発表した。



参加したアーティストたちに話を聞くと、それぞれ紆余曲折の苦しみがあったようだ。ビジネスパーソンとプロのアーティストが組んでいたグループでは、典型的なビジネス的思考から抜けきれず解答を提示しがちなビジネスパーソンと、そうではないアーティストとの対立もあったという。

文=MAKI NAKATA

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