混乱するトルコについて知っておくべき9つのこと

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トルコは混乱に陥っている。同国の通貨リラは下落を続け、インフレは制御不能になっている。非常に多くのことが起きているトルコについて、知っておくべき9つのことを紹介する。

1. 投資家の信頼感がゼロ

トルコの政策には、主に2つの問題がある。まず、通貨リラの下落と政府の信用保証基金の大幅な拡充は、景気の過熱を招いた。そして、その兆候が明らかになっても、政府はインフレを抑制するための利上げを行わなかった。

また、トルコの中央銀行は、うわべの独立性と信頼性も全て失ってしまった。そのため投資家たちは、神経質になっている。外貨はどの国にとっても極めて重要だが、特にトルコのような新興国にとって、こうした状況は問題だ。

2. カタールの支援は無駄に

産油国のカタールはトルコを支援するための150億ドル(約1兆6690億円)の直接投資とリラ安定のための協力を表明した。だが、常軌を逸したトルコの経済政策のため、支援は効果をもたらさないだろう。

3. 実際のインフレ率は驚くほど高い

ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク教授(応用経済学)は8月半ば、トルコの年間インフレ率は101%であるとの見方を示した。一方、世界各国・地域の経済関連データを提供するトレーディング・エコノミクスによれば、トルコ政府は7月、年間インフレ率は推定15.85%であると発表している。

4. 通貨リラはさらに下落する

前出のハンク教授は、各国の通貨の問題と解決策に関する膨大な知識を持つ。教授は米シンクタンク、ケイトー研究所でこれらの問題を扱うプロジェクトの責任者を務め、長年にわたって各国の通貨安定への支援を行ってきた。残念ながら教授は、8月半ばにも、リラはさらに下落するとの見方を示している。

5. 大統領が経済音痴

少なくともその発言から考えれば、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は経済がどのように機能しているかについて、全く理解していない。高金利がインフレの原因になると考えている(フォーリン・ポリシー誌の記事を確認してほしい)。ハンク教授も、エルドアンの見解についてはナンセンスだと述べている。
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編集=木内涼子

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