1. 投資家の信頼感がゼロ
トルコの政策には、主に2つの問題がある。まず、通貨リラの下落と政府の信用保証基金の大幅な拡充は、景気の過熱を招いた。そして、その兆候が明らかになっても、政府はインフレを抑制するための利上げを行わなかった。
また、トルコの中央銀行は、うわべの独立性と信頼性も全て失ってしまった。そのため投資家たちは、神経質になっている。外貨はどの国にとっても極めて重要だが、特にトルコのような新興国にとって、こうした状況は問題だ。
2. カタールの支援は無駄に
産油国のカタールはトルコを支援するための150億ドル(約1兆6690億円)の直接投資とリラ安定のための協力を表明した。だが、常軌を逸したトルコの経済政策のため、支援は効果をもたらさないだろう。
3. 実際のインフレ率は驚くほど高い
ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク教授(応用経済学)は8月半ば、トルコの年間インフレ率は101%であるとの見方を示した。一方、世界各国・地域の経済関連データを提供するトレーディング・エコノミクスによれば、トルコ政府は7月、年間インフレ率は推定15.85%であると発表している。
4. 通貨リラはさらに下落する
前出のハンク教授は、各国の通貨の問題と解決策に関する膨大な知識を持つ。教授は米シンクタンク、ケイトー研究所でこれらの問題を扱うプロジェクトの責任者を務め、長年にわたって各国の通貨安定への支援を行ってきた。残念ながら教授は、8月半ばにも、リラはさらに下落するとの見方を示している。
5. 大統領が経済音痴
少なくともその発言から考えれば、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は経済がどのように機能しているかについて、全く理解していない。高金利がインフレの原因になると考えている(フォーリン・ポリシー誌の記事を確認してほしい)。ハンク教授も、エルドアンの見解についてはナンセンスだと述べている。