Firefoxが「プライバシー保護」強化、仮想通貨の無許可採掘も防止

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インターネットでの行動はトラッキングされている。ほぼすべてのウェブサイトが、訪問したユーザーがサイト内で何を行い、次にどんなサイトを閲覧するのかを追跡している。

サードパーティーの広告は、ユーザーが訪問するサイトを記録し閲覧習慣をさぐるために、トラッキングCookieを設定していることが多い。企業らは、ユーザーのネット上での行動の流れを把握するためにデータを共有することもある。

その結果、ユーザーに関連性の高い広告が表示されるといったメリットもある。一方で、フェイスブックが長きにわたって続けてきた不透明なデータ管理や、悪意ある人物にネットの閲覧履歴を盗まれるような事態も起きる。ユーザーの同意を得ずに、トラッキングを行なうことはプライバシーの侵害といえる。

EUは2018年5月に一般データ保護規則(GDPR)を導入し、企業によるユーザーデータの収集と共有を厳しく規制している。サイトを訪問した際に、cookieを設定する許可を求めるポップアップが表示されるケースが増えたのはこの影響だ。

しかし、多くのユーザーはこのポップアップを邪魔に感じ、深く考えずに許可してしまうことも多い。ネット利用者たちを保護する目的で、ブラウザの「Firefox」が新機能を導入した。

Firefoxではトラッキングをブロックするために、cookieの設定を許可するかしないかをサイト単位ではなく、ブラウザの設定で決められる。デフォルトでトラッキングcookieをブロックするツールも提供する。

このアンチ・トラッキング機能は段階的に導入される。テック系ニュースサイト「Digital Trends」が報じた広告ブロッカー「Ghostery」の調査によると、広告に組み込まれているトラッキングツールは、ウェブページの読み込み速度を50%以上も遅くしているという。

Firefoxはまず、ページの読み込み速度を遅くするトラッカーをブロックする機能を導入する。この機能は現在、プレリリース版の「Nightly」ビルドで利用可能だ。9月中に参加者を募って検証が行われる予定で、順調にいけばFirefox 63に盛り込まれる(現行バージョンはFirefox 61)。

次に導入される予定の機能は、サードパーティーのトラッカーがcookieを設定したり、ストレージにアクセスできないようにする機能だ。この機能もNightlyで利用可能で、9月中に検証されFirefox 65への導入が予定されている。

仮想通貨マイニングもブロック

さらに、ユーザーのデバイス上で、無許可で仮想通貨を採掘する、クリプトマイニングのスクリプトもブロックする予定だ。またトラッカーが、ユーザーのデバイスの同一性を確認するために「フィンガープリント」を設定することも防止する。この機能の実装時期は公表されていない。

ユーザーがプライバシーを守りセキュリティーを確保すれば、ネットは今よりも安全になる。しかし、そのためのツールは存在するものの、基本中の基本と言えるセキュリティー対策すら講じないユーザーも多い。そういったユーザーを保護するためのFirefoxの取り組みは歓迎するべきものだ。

編集=上田裕資

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