フードテック分野では、世界的注目を誇るイスラエル企業が多数あり、大型買収が相次いでいる。
バドワイザーを傘下に持つアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)は、8000万ドルで消費者の嗜好を分析する企業「Weissbeerger」を買収した。大手香料メーカーのIFF (インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス) は食品分野のR&D を手がける「Frutarom」を71億ドル(約7880億円)で買収した。
オランダ発のフードデリバリー企業Takeaway.comは、食品マーケットプレイスの「Ten Bis」を1億5700万ドルで買収した。
イスラエルのスタートアップ企業のデータベース「Start-Up Nation Finder」には、現在約250社のフードテック企業が登録されており、ここ5年間で企業数は堅調な増加を遂げている。また、この分野の企業への投資件数は2014年から年間19〜33件となっている。
2018年に入り注目を集めたのがクリーン・ミートの分野だ。このカテゴリでは、「Future Meat」が2200万ドル、「SuperMeat」が300万ドルを調達している。また、インキュベータのThe Kitchen出身の企業「Aleph」も、今後の事業拡大を宣言した。別のインキュベータ「Good Food Institute」も新たな拠点をイスラエルに構えている。
さらに、パーソナライズされた栄養補助食品分野の企業も注目を集め、「Nutrino」が800万ドル、「Metaflow(別名、Lumen)」が700万ドル、「DayTwo」も詳細は不明だが、膨大な資金を調達した。
ヘルスケア分野では砂糖の過大な摂取が問題視されている。これを解決するソリューションを提供する企業「Douxmatok」や「A1C Foods」「Amai Proteins」にも注目が注がれている。世界の砂糖市場は900億ドル規模といわれるなかで、この分野のスタートアップは巨大なポテンシャルを秘めている。
フードテック分野でイスラエル企業は、テクノロジーや学術的知識、リサーチ能力を、セクターをまたいで活用し、新たなイノベーションを起こそうとしている。