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『Unhinged』(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

米国の出版業界では過去5年の間、ノンフィクションの売上がフィクションを上回る傾向が続いており、年を追うごとにその差は開きつつある。

ペンギン・ランダムハウスが先日発表したデータによると、2017年の米国出版業界における成人向けノンフィクション作品の売上は61億8000万ドル(約6845億円)。これに対し、小説などのフィクション作品の売上は43億ドルだった。

フィクション作品の売上が、ノンフィクションを上回ったのは2013年が最後のことだ。当時はフィクションの売上が52億1000万ドル、ノンフィクションが48億2000万ドルだった。

その後、ノンフィクションの売上は毎年大きく上昇し、2014年は49億7000万ドル、2015年は55億9000万ドル、2016年は58億7000万ドル。そして、昨年ついに61億8000万ドルに到達した。

一方で、成人向けフィクションの売上は、2013年の52億1000万ドルから、2017年には43億8000万ドルに低下した。

ただし、これらのデータは大手出版社の売上のみを集計したものであり、インディー系の出版社やセルフパブリッシングの書籍は含まれていない。出版業界に詳しいJane Friedmanは次のようにコメントしている。

「フィクション書籍の市場全体は縮小していないのかもしれない。大手出版社が発行するフィクション作品の市場が、より安価で購入できるインディー系の作家の作品に奪われている可能性もある」

一方で、今回のペンギン・ランダムハウスの発表でもう一つ注目すべきは、出版業界全体の売上がほぼ安定している点だ。売上はここ数年、横ばい状態が続いている。2017年の市場全体の売上は147億ドルで、2016年から0.4%の伸びだった。

「一般書(電子書籍を含むあらゆるジャンルの書籍)分野の売上は回復基調にあり、オーディオブックは2桁台の成長となっている。2017年の電子書籍の売上は前年度比4.7%減で、3年連続の減少となったが、減少のペースは緩やかになっている」とレポートは述べている。

米国でノンフィクション書籍の売上が伸びている背景には、昨今の政治的状況が大きく関わっている。昨年5月、ドナルド・トランプにFBI長官職を解任されたジェームズ・コミーが執筆した暴露本は、今年4月の発売初週で60万部を超える大ヒットとなった。

ノンフィクションの売上がフィクションを上回る状況はしばらく続きそうだ。

編集=上田裕資

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