米司法省、ハーバード大の入学選考を批判 アジア系差別を主張

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米司法省は8月30日、ハーバード大学の入学選考制度にはアジア系米国人に不利な偏りがあるとした学生団体の訴えを支持する見解を示した。同省は裁判所に提出した37ページにわたる意見書で、ハーバード大の入学選考を厳しく批判している。

意見書では、ハーバード大が「多様性の教育的利点」を理由に入学選考で志願者の人種を考慮していることを認めている一方で、その選考方法がアジア系米国人に対する違法な人種差別につながっていないことを示せなかったと指摘。セッションズ司法長官は司法省が発表した声明で、「いかなる米国人も、人種を理由に入学を拒否されるべきではない」と述べた。

この訴えは、非営利団体「公平な入学を推進する学生の会(Students for Fair Admissions)」が2014年、ボストンの連邦裁判所に起こしたもの。ハーバード大はこの訴訟について、同団体のエドワード・ブルーム代表の私利を満たすためのものだと主張している。ブルームは長きにわたり、被差別グループの教育や雇用を積極的に推進する「アファーマティブ・アクション」や、人種マイノリティーに不利な選挙区割りを禁じた投票権法に反対してきた人物だ。

今回の訴訟は、同様の入学選考を行っている多くの名門大学に影響を及ぼす可能性があり、注目を集めている。

米国のアファーマティブ・アクションについては、連邦最高裁判所がこれまで数度にわたり判決を出しており、直近では2016年、大学は学生の多様性を推進するための一要素として人種を考慮できるとの判断を下した。この訴訟は、白人であることを理由にテキサス大学オースティン校から差別を受けたと主張する女性が起こしたもので、ブルームも原告側に加担していた。

最高裁は一方で、アファーマティブ・アクションを制限する判断も下しており、各大学に対し、人種を考慮しない経済支援などの優遇措置を通じて多様性を推進するように求めたこともある。だが、公立大学に入学志願者の人種を考慮する行為を禁じているカリフォルニアやフロリダなどの州では、競争率の高い大学でのアフリカ系米国人などの割合が低下している。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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