米ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスのローレン・グリウォル助教(経営学)らの研究チームによると、私たちは自分が「見た目の悪い」野菜や果物を食べていることを想像するだけで、自分自身にマイナスの影響を与えてしまうという。そのため見た目が悪いものは安全性に変わりがなくても、外見が美しいものほど買いたい気持ちにならないというのだ。
「野菜や果物の見た目を重視してしまうことが、食品としての安全性が同じであるにも関わらず、外見の悪い農産物を拒絶することにつながっている。そして、それが小売業者の損失と、食品廃棄物の増加という結果をもたらしている」
「自己認識の変化につながる外見の悪い農産物を、消費者は低く評価する」
研究結果はそのほか、「農家は小売店で販売するには“見た目が不十分”だというだけの理由で、農作物の最大30%を廃棄している」とした別の研究結果を紹介。消費者が完璧ではない、または通常とは形状が異なる野菜や果物を避けることが、世界の食品廃棄物の問題に多大な影響を及ぼしていると指摘する。
また、米農務省(USDA)のデータによれば、小売業者は毎年154億ドル(約1兆7170億円)相当の食べられる野菜や果物を捨てているという。「見た目の悪い」農産物を拒否する消費者のおかげで、大量の野菜や果物が売れ残り、廃棄物になっているのだ。
USDAはウェブサイト上で、「食品廃棄物の量は米国の食糧供給量のおよそ40%に相当する」「その原因の大半を生み出している消費者は年間約4000万トン、小売業者はそのおよそ半数に当たる2000万トンに責任を負っている」と述べている。
一方、国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界全体では人間が消費する食糧の3分の1に当たる30億トンの食糧が、無駄にされている。先進国と途上国の食品廃棄量はそれぞれ、年間およそ6800億ドル、3110億ドル相当に上る。