ビジネス

2018.09.03

ジンズ田中社長が取り組む、「オール群馬」の起業家発掘プロジェクト

田中 仁(写真=若原瑞昌)


地域にできることは何か──。そこでたどりついたのが、GIAだった。開催にあたっては、地元メディアと協働できたことが大きかったという。

「いきなり『起業』や『アントレプレナー』と言っても、一般の県民にとって、なかなかピンときません。県民が普段から目にする地元紙『上毛新聞』が一緒に進めてくれたことが、大きな前進につながりました」

また、慶應義塾大学とも連携し、昨年度から受賞した高校生を対象に、GIAの審査委員長を務める同大湘南藤沢キャンパスの國領二郎教授のゼミでビジネスプランを磨く起業家育成支援も始めた。

田中は「GIAを軸として、取り組みやつながりの輪が横に広がっていくのはうれしいことです。地方には、『あまり目立ったことをしたくない』という雰囲気があります。GIAを通じて、そんな状況に一石を投じるようなきっかけをつくり、『自分もできるんだ』と思ってもらえる環境をつくりたい。最低でも10年は続けたいと思っています」と語る。

GIAが回数を重ねるにつれ、群馬県の開業率も上がっているという。13年度から16年度にかけて4.8%から5.6%に上昇したとの試算もある。「心も体もお金も注ぎ込んできた」田中の熱気が、確実に広がりをみせている。


田中仁◎ジンズ代表取締役社長、田中仁財団代表理事。1963年、群馬県生まれ。88年、ジェイアイエヌ(現ジンズ)を設立し、代表取締役社長に就任。2001年アイウエア「JINS」を開始し、06年大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。「Ernst&Youngワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」日本代表として出場。13年東証一部上場。

文=池田正史 写真=若原瑞昌

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