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イノベーション・エコシステムの内側




このエリアを歩いていたら、タリンでいちばん有名なコワーキングスペース、LIFT99に出くわした。ここは政府が支援するTELLISKIVI CREATIVE CITYで、新しいカルチャーをつくる場所だ。そこでつくられた服やアクセサリーなどもショップで売られていた。

すっかりこの地区に魅了されて、次の日も気づけばまた同じ場所に来ていた。アーティストやスタートアップを歓迎する空気が充満したその場所で、洒落た若者が楽しそうに卓球をしていた。LAMUUという人気店でアイスクリームを食べたが、バニラのなかにベーコンを凍らせたものが入っていて、とても美味しかった。

スタートアップとアーティストが交わる場所は、以前訪れたデンマークにもあったが、そこはアーティストの支援だけで、作品の販売はしていなかった。しかし、エストニアのこのエリアは、シンガポールとも日本ともまったく異なる雰囲気があり、新しいイノベーションと相性が良さそうだった。

スカイプを生んだ国


エストニアには、プライベートエクイティとベンチャーキャピタルをしているESTVCAやエンジェル投資ネットワークがあり、また、他国の著名ベンチャーキャピタルも巨額の投資をしている。さすが世界でいちばんスタートアップしやすい国のひとつと言われるだけある。

これまでいちばん大きな投資は、フィンテックのスタートアップ「トランスファーワイズ(TransferWise)」で、12社から合計3億9640万ドルを受けている。シリコンバレーの著名なエンジェル投資家ロン・コンウェイ率いるSV Angelもそのうちの1社だ。前述の「Startup Estonia」のサイトを見れば、エストニアのスタートアップがいかに世界中から出資を受けているかわかるだろう。

タリンではミートアップイベントなども頻繁に行われており、スタートアップ経営者同士は非常に仲が良く、互いにアドバイスしあっているそうだ。現地の人の憧れは、エストニア発で巨大企業となったスカイプだろう。他にも著名なスタートアップとしては、Funderbeam、LeapIN、 Pipedrive、Taxify、GrabCadなど多くがある。



バルト海に面した街であるタリンには、きれいなビーチもあり、そのそばにはアスレチックが楽しめる公園もあった。

超高級ホテルを借りて住んでも月々9万円、料理もお酒も美味しい。日本人はまだ120人しか住んでいないため、美味しい日本食は4軒しかないそうだが、エストニア人がやっているお寿司屋さんも意外に多くあり、便利だ。今回の旅で、これからはエストニアの時代が来ると確信した。

連載 : イノベーション・エコシステムの内側
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文=森若幸次郎

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