ビジネス

2018.09.04

東大を中退して起業 「プログラミングで誰かの人生を変えたい」#30UNDER30

Progate 加藤將倫


──その頃から起業を視野に入れていたのでしょうか?
 
そんなことはありません。そもそも僕は、大学入学の頃、起業することなんて人生の選択肢に入っていませんでした。とりあえず大学院に進学して、それからはいかに大企業に入社して安定した暮らしを送るか。そんなことを考えいました。起業家という生き方を全くイメージできていなかったんです。
 
ところが、ある時、偶然知り合った起業家にSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に連れて行ってもらう機会があって。そこでスタートアップの人たちと話す機会があったんです。



彼らはフェイスブック創業期のメンバーで、いまはストックオプションで豪邸に暮らしつつ、新たな事業を立ち上げようとしていた。派手に稼いで、自分の事業を楽しそうに語る。そんな彼らの姿を見て、細々とお金を稼いでいる自分よりも圧倒的にカッコいいと感じたんです。起業に対する憧れを抱き始めたのは、この頃だったと思います。
 
絶対に挫折させない。サービス開発でこだわり抜いたこと

──Progateが登場した頃は、プログラミング学習サービスがたくさん登場していた時期です。競合サービスよりも支持された理由はなんだったのでしょうか?
 
サービス設計で重視したのは、「絶対に挫折させない」ことです。既存のサービスはテキストだらけで、僕自身がなかなか続けられないと感じていました。また、コーディング以前の環境構築でつまずいてしまう人も少なくありません。
 
プロゲートではなるべく画像を使い、ブラウザ上でコードを書けるようにしています。いま学んだことを正しく出力できているのか、その場で確認できれば飽きずに続けられる。そう思ったんです。
 
昔の僕はいろんな人に助けられてプログラミングの楽しさを知ることができましたが、独学でも同じ体験を味わうためには、どんなサービスが理想的なのか。常にこれをイメージしながらサービスをつくっていました。


創業間もない頃、オフィスのホワイトボードにサービスのイメージを綴る加藤

仰る通り、創業時はとても競合が多く、先行きが不安な時期が長く続きました。事実、最初の2年くらいはほとんど利益を上げられていません。

ですが、常に一貫して考えていたのは、良質なコンテンツをたくさん揃えること。プログラミングはひと通りのスキルを身につけるまでのステップがとても多いので、習熟度や言語ごとにコースの数も増やしました。いまでは新たなコースが増えると一定の話題になるので、やはりこの路線は間違っていなかったのかな、と思っています。
 
──4年近く経営を続けてきて、成長を実感することはありますか。
 
うーん、どうでしょう。昔よりも雑音に惑わされることは減りました。僕は意思決定が苦手で、業界内の空気や周りからのアドバイスに流されがちだったのですが、最近はあまり気にしなくていいと思えるようになりました。
 
いまは2度目の創業期だと思って海外展開に力を入れています。原点回帰といっても、これまでの経験からどこで苦労するのかはある程度予想できるので、その意味では成長しているのかもしれませんね。


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文=野口直希 写真=帆足宗洋

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