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モータージャーナリスト

Lexus ES300h Sonic Titanium

レクサスはこの秋、新型ESをラインナップに加えて、ラグジュアリーカー市場への新たなチャレンジを開始する。実はES、これまで北米をはじめとする海外市場では、ブランドの屋台骨を支える大ボリュームセラーとして親しまれてきた。それが、新型から遂に日本、ヨーロッパにも導入されることになったのだ。

世界がラグジュアリーカーへ熱い視線を送る時代。レクサスは、その本当の価値を体現してきたブランドのひとつと言えるだろう。ますます高まる期待に、ESは応えてくれるだろうか。

日本導入に先んじてアメリカ ナッシュビルで開催されたプレス向け国際試乗会で、新しいESを試した。ステアリングを握ったのはハイブリッドパワートレインを積むES300h。日本ではバージョンLに相当するモデルと、その名の通りスポーティ仕立てのF SPORTの2台である。

まず何より目をひくのが、そのスタイリングだ。複雑な3D形状とされたお馴染みスピンドルグリルと、そこから連なる低いボンネットフード。ノーズを長く見せる後方に寄せられたフロントピラー、クーペのようなラインを描くルーフにボリューム感あるリアフェンダーといった要素から描き出されているのは力強く、それでいてエレガントな姿だ。



この美しいプロポーションは、最新プラットフォーム採用の恩恵である。基本骨格に於いて低フード化、低重心化、ドライビングポジションの適正化などを希求したもので、つまり衣服や化粧の前に、身体自体を鍛え上げているということを意味する。それが土台としてあってこそ、繊細なディテールも際立つのである。

インテリアの設えも上々だ。運転席に座ると、フードの低さに合わせて高さが抑えられたダッシュボード、横基調の広がり感あるデザイン、各操作系のすんなりと馴染める絶妙な位置関係などと相まって、とても開放感があることに気付く。各部のクオリティの高さも目を見張るところ。質の高い素材を高い精度で組み上げることで、これみよがしではないスマートな上質感を演出している。

後席は、あるいは驚きすらもたらすかもしれない。ホイールベースを長く取ったおかげで足元スペースには、とても余裕がある。実際にスペックを見ても、前後方向の広さはレクサスのフラッグシップであるLSをも凌ぐのだ。しかも、クーペのようなフォルムから想像する以上に頭上にも余裕があるし、背もたれは最大8度のリクライニングが可能だから、大切な人を導き入れるのにも躊躇しなくていい。

しかしながら新型ES、もっとも注目すべきはやはりその走りっぷりだろう。この時代に自らステアリングを握り、アクセルを踏み込むことの意義、価値を改めて実感させてくれる世界が、そこにはある。

フロア全体の「93%」を覆う遮音・制振材

まず鮮烈な印象をもたらすのはその静粛性の高さだ。外板のアルミ化や、ボディ各部への剛性部材の効果的な配置などにより軽量化、高剛性化を実現したボディが振動や騒音をすっきりと減衰する上に、フロア全体の93%を覆ったとされる遮音・制振材も効いているのだろう。

エンジンを使わず電気モーターだけで発進する、直列4気筒2.5ℓエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムも、静かで滑らかという印象を倍加させている。動力性能も、まさに必要にして十分。かつてのハイブリッドのイメージとは違ってアクセル操作に対する応答性が良く、右足の動きに忠実に応えてくれる。仰け反るほどパワフルというわけではないが、爽快なスポーツ性を感じるのだ。

一方で、アクセルを戻した時など必要無い時にはすぐさまエンジンが停止し、再加速はモーターが力強くアシストするなど、賢く走りをマネージメントしてくれるのも、レクサスのハイブリッドの特徴だ。車載の燃費計を見ていると、この走りでこの数値?!と、またも驚かされることになる。

フットワークも、やはり軽やかさが光る。姿勢がフラットで目線がブレないのが、何より好印象。これが長距離でも疲れ知らずの走りに効いている。しかも、ステアリングを切り込んだ時の動きは素直で、且つ安定性が際立って高いから、コーナーが連続する場面が待ち遠しくなるほどだし、一方で街中ですらサイズを意識させない意のままになる感覚を味わえるのが嬉しい。

F SPORTは、足元に19インチのタイヤ&ホイールを履きボディ、シャシーに専用のセッティングを施す。普段は十二分に快適だが、様々な走行モードを任意で選択できるドライブモードセレクトを“SPORT S+”に設定した時の切れ味の良さは、思いのままに操れる歓びに頬を緩ませるものだ。

F SPORT 内観|Fを冠する専用本革シート ※写真海外仕様


しなやかな乗り心地を生み出す世界初の〝仕組み〟スイングバルブショックアブソーバー

一方、バージョンLは、段差を乗り越える時などの鋭い入力は柔らかく受け止めつつ、姿勢の変化は抑える世界初採用の「スイングバルブショックアブソーバー」を装備することで、非常にしなやかな乗り心地を実現している。騒音を抑制するノイズリデューシングホイールと相まってもたらされる上質な乗り味には、ただただ唸らされた。

これみよがしに力を誇示するわけではないが、しかしさりげなく速く、そして安定していて、快適。スタイリングと同様、とても健康的なスポーティさが感じられるのが、新型ESの走りなのだ。

もちろん運転支援システム、先進安全装備も最新のものが用意されている。レクサス セーフティシステム+は、夜間歩行者検知まで可能にした最新のプリクラッシュセーフティシステムや、レーダークルーズコントロールに操舵支援による車線内中央維持機能をプラスしたレーントレーシングアシスト他の機能を組み合わせたレクサス コドライブなどを包括するもので、内容は新型LSにも肩を並べるものとなっているのである。

ステアリングを握りたい衝動

冒頭に記した通り、レクサスにとってラグジュアリーカー市場での新たなチャレンジとなる新型ESは、決してド派手にアピールするわけではないが、しかしクルマを知る人、モノの善し悪しを知る人を唸らせるだけの内容を備えていると言っていい。冒頭に記したように日本、ヨーロッパという、ある意味でラグジュアリーカーに対する目がもっとも肥えた市場への導入を見据えて開発されただけに、これみよがしな豪華さよりも、本質が徹底的に磨かれたクルマに仕上がっているのだ。

品格があり、リアシートも広く、ショーファードリブンにも十分使えるクルマである。けれど、それは大事な人を招き入れる時のためだけにして、普段はあくまで自らステアリングを握りたい。そう思わせるのが新型ESだ。何ごとも自らが決め、動いているアクティブなビジネスパーソンに相応しいラグジュアリーカーの登場である。

文=島下 泰久

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