あれもこれもアルゴリズム ファッション界に浸透する人工知能

Nata Sha / Shutterstock.com

街中で気になる服を撮影し、画像をアップロードすると人工知能が該当商品や類似製品を紹介してくれる──。画像認識技術を使った「ファッションレコメンドアプリ」が、いま世界各国で続々と登場している。

個人の趣味やライフスタイル、TPOに合わせて服をおすすめしたり、パーソナライズしてくれる「AIコーディネートアプリ」も流行の兆しを見せ始めている。これまでセレブや芸能人にしか縁のなかった“お抱えスタイリスト”を、個人も持てる時代の到来である。

最近では、スポティファイに蓄積された個人の音楽データを解析しファッションを提案してくる「FITS」(米Eison Triple Thread社開発)なるサービスも登場した。精度のほどは賛否両論があるだろうが、「データの横断的利用」という文脈で考えると非常に興味深いアイデアだ。

CHAGE and ASKAやSexy Zoneなど時代やジャンルも共通性がない楽曲にハマっている筆者には、いったいどんなコーディネートが推薦されるのか。とても気になるところではある。

アルゴリズムがバイヤーを手助け

ところで、それらサービスは主にC向け、つまりコンシューマー用に開発されたサービスであるという共通点があるが、昨今では企業活動や競争力向上にフォーカスした「ファッションAI」の登場も目立ってきた。

ファッションアイテム専門のレンタルサービス、またECを展開する米スタートアップLe Toteには、アイテムを買い付けするバイヤーが6人しかいない。というのも、同社では買い付けを支援するアルゴリズムがアイテム選別を支援しているからだという。

共同設立者の一人であるBrett Northar氏がメディア取材に答えたところによると、アルゴリズムは、消費者がオンライン上でどのようなアイテムをお気に入りに登録したか、またオンラインでの評価や最近の購買内容などを照らし合わせ、買い付けるべきアイテムをバイヤーたちに示してくれるのだという。

米カジュアルブランドのトミー ヒルフィガーも、今年初めにIBMやFashion Institute of Technology(FIT)などと提携。人工知能を活用するプロジェクトを本格的に立ち上げている。

ディープラーニングを活用したAIシステムは、ファッショントレンド、自社製品のランウェイ画像に対する消費者心理、流行パターン、シルエット、色、スタイルなどの分析に利用される見通しで、分析結果はデザイナーに伝えられ、次回コレクションの参考に使われる。言い換えれば、自社の意思決定を行う上で人工知能がリサーチャーの役割を果たすというわけだ。
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文=河 鐘基

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