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「意外とおしゃれ」「思っていたより規模が大きい」──。

かつてLITALICOのオフィスを訪問した人たちの反応だ。「障害者の支援事業をする会社はお金がなくて、人材が不足しているものだと誰もが思いこんでいた」と同社社長の長谷川敦弥は笑う。

だが、そんなイメージも2016年3月の上場を機に大きく変わった。障害者の就労支援や教育事業で年間100億円超を売り上げる、東証一部上場企業のLITALICOの存在は、福祉事業と利益追求は矛盾しないことを証明した。しかし、長谷川にとって上場はゴールではなく手段。上場によって得た信頼と資金を梃子に目指すのは、福祉業界全体のプラットフォームづく
りだ。

「障害者が抱える課題は、全てつながっている。住まいも、保険も、教育も。そのためには、障害者と接点がない人たちを巻き込み、味方にしていく必要がある。そのための手段の一つがプラットフォームだ」

LITALICOは今年に入り、たて続けに新サービスを開始している。障害者の就労支援事業所の検索サイト、障害のある子供がいる家族向けのファイナンス相談など、これまで積み上げてきた知見と人材を活用して事業の幅を広げる段階に入った。

ビジョンを共有できる企業への出資も進めている。投資先は、パーソナルモビリティを開発するWHILLや、学校教員向けSNS「SENSEI NOTE」など。障害者支援と直接的に結びつかない企業もあり、目先のリターンを期待できる投資ではない。だが、障害者と向き合う社員の多くは教育の重要性を痛感しているため、教育分野への投資は長期的にLITALICOのビジョンと重なる。

「社長のそういった姿を見て、自分たちもビジョンに向かっていくんだという実感を持つようになっている」(坂本祥二取締役)という。

社会的課題の解決に立ち向かいながら、一定の経済性を満たしていく。ただし、短期的な視点に偏らない。そんな姿勢に共感して人が集まり始めている。LITALICOの採用募集には年間3万6000人が応募する。倍率100倍の狭き門だ。JAL、ソニーなど大手企業と手を組む機会も増えてきた。長谷川の人を巻き込む力は、その対象をどんどん広げている。

この記事は「Forbes JAPAN 2018年08月号」に掲載されています。定期購読はこちら >>

文=夏目美枝 写真=小田駿一

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