膝つきがダメなら... 米高校アメフト部が見せた新しい抗議方法

人種差別に対し、膝をついて抗議するNFL選手(Photo by Jonathan Newton/The Washington Post via Getty Images)

アメリカンフットボールのシーズンが開幕した米国では、試合前の国歌斉唱の場を使って社会の不平等に異を唱えるプロフットボールリーグ(NFL)選手の行動が、トランプ大統領を筆頭とした人々の気分を害し続けている。

ユースレベル以上の多くのスポーツでは、選手らがアメフトのコリン・キャパニック選手にならい、国歌斉唱中に膝を地面について起立を拒否する抗議活動を行なってきた。だが先日、米国の2つの高校のフットボールチームが、膝をつく以外の方法で意見を表明して変化を促せることを示した。

インディアナ州インディアナポリスにあるカトリック系のロンカリ高校が今月17日、フットボール開幕戦に参加した際、スター選手の一人であるエライジャ・メーハンは、ピッチで虹色の旗を振りかざした。これは、長年カウンセラーとして勤めてきた女性が同性婚をしていたことを知った同校が、この女性に離婚か辞任のどちらかを選ぶよう要求したことへの抗議だった。メーハンの行動は、ロンカリ高校に対して生徒や卒業生から集まった抗議の声を反映したものでもある。





もう一つの抗議活動は、ジョージア州のアメフト強豪校、グレーソン高校で15日に行われたもので、主任コーチのクリスチャン・ハンニカットの解任を求めて、選手のほぼ全員が練習を放棄した。原因は同コーチによる選手の待遇だ。アトランタの地元紙アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション(AJC)が報じたところによると、ハンニカットは練習で、短パンを履いた状態で全力でぶつかり合うよう選手に指示していた。

選手らは数の力をもってして、ハンニカットから譲歩の姿勢を引きだしたようだ。AJC紙によると、ハンニカットはその後、選手らと話し合い、過酷な練習条件について謝罪し、今後は練習の負担を軽くすると約束したという。

こうした選手らのことを、根性のない甘ったれだと言うこともできる。しかし、この2つの抗議の例は、選手が団結すれば変化を起こせるのだというメッセージとしてとらえてみてほしい。国歌斉唱中に静かながらも力強い抗議を展開する選手らに対し、これほどまで多くの人が怒りや恐怖を感じている理由も、まさにそこにあるのかもしれない。

編集=遠藤宗生

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