今年で2回目のこの賞は、8月20日~25日にかけて結果が発表され、全国から12人の“すごい地方公務員”が選出された。受賞者は東京都から1人、神奈川県4人、静岡県1人、福井県1人、大阪府2人、和歌山県1人、福岡県2人。
地方公務員が表立って個人として表彰されるイベントは、2013年に始まった「地域に飛び出す公務員アウォード」が有名だが、通常業務を個人の成果として評価される全国規模のイベントはこれまで存在しなかった。
また、こうしたアワードに電通やLIFULL、PR TIMES、ホープなどの上場企業をはじめ協賛企業が6社ものぼることも異例であり、この動きから、地方公務員や地方自治体に対する民間企業からの注目の高まりが伺える。今回の協賛企業のうち5社は「電通賞」「LIFULL賞」などの名称で特別賞も授与している。
公務員も個性が光る時代に
公務員といえば、これまで金太郎飴のような均質なイメージを持たれることも少なくなかった。実際のところは、それぞれに魅力的な個性があるのだが、地方自治体には「出る杭は打たれる組織風土」が根強く残り、なかなか個性を発揮できる個人は少なかった。
しかし、喜ばしいことに、最近では個人として活躍する公務員が全国で連鎖的に生まれている。その事象の背景には、部下に対して寛容性を持ち、一定の権限移譲を行う理解ある首長や幹部職員が増えてきたこともある。
行政の役割は困っている人を救うセーフティーネットだと言われることも多い。「地方公務員アワード」受賞者の1人、神奈川県中央児童相談所の鈴木浩之の活躍は、その文脈においては圧倒的な成果を上げている。
児童虐待の対応について、当事者家族が主体者となって安全を構築する支援を研究し、実践した。オーストラリアの先駆的支援手法を取り入れるとともに、講師としても全国への普及にも努めている。
さらに、虐待にいたった保護者に直接インタビューをし、支援のヒントを得るべく論文をまとめ、そのひとつは日本社会福祉学会で奨励賞を受賞した。児童虐待に関わる児童相談所や自治体は、日々大きな精神的負荷を抱えながら業務を遂行している。その状況下で体系的に学びを実践し、全国への普及まで図るというのには頭が下がる。