「Business Entrepreneurs」カテゴリーで選出された、AppBrewの松井友里。同社が運営するコスメのコミュニティアプリ「LIPS」は2017年1月のリリース以来、順調にユーザー数を伸ばし、2018年6月時点で100万ダウンロードを突破。6割のユーザーを10〜20代前半の女性が占める。
AppBrewは東京大学の学生を中心としたスタートアップとして2016年に創業。代表取締役の深澤雄太とともに同社を創業し、「LIPS」を発案したのが共同創業者の松井友里だ。18歳までニューヨークで過ごしていた帰国子女の松井が、なぜ日本という国でスタートアップを起業したのか。その理由を聞いた。
世界8カ国70社のスタートアップを取材してわかったこと
──AppBrewを創業した、きっかけは何だったのでしょうか?
もとをたどれば、大学2年生のときに海外のスタートアップを取材するプロジェクトを企画したことがきっかけかもしれませんね。直前まで、とあるスタートアップでインターンをしていたのですが、当時の日本にはまだ海外のスタートアップの情報が少なくて。小中高とニューヨークで過ごしていたので、英語でリサーチすると面白い情報が結構あったんです。
実際に取材して記事化したら結構ニーズがあるんじゃないか。そう思って、クラウドファンディングで飛行機代と現地での生活費を募って取材旅行をしました。タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、ドイツ、イスラエル……それとアメリカ。全部で70社ほど回りました。
それぞれの国の人柄や背景もさまざまなので、特色もそれぞれ違って、本当に面白かった。ドイツのとあるスタートアップは、資金調達直後でめちゃくちゃ波に乗っているのに、創業時からプライベートな時間も大切にしていて「1日6時間しか働かない」と。
海外のスタートアップを取材していたときの松井
かたや、イスラエルのセキュリティベンチャーは、寝る間もないくらい忙しそうで、私の取材にも半分寝そうになりながら応対してくれて……。
そもそも、取材のプロジェクト自体、「将来どうしようかなぁ」と思いながら始めたのですが、地道に取材して記事を書くことよりも、企画を立てて資金を集めて、デザインを考えてサイトを立ち上げて、読者の方から反応をもらえたことに喜びを感じたんですよね。
取材でスタートアップのメリットデメリットどちらも見て、確かに大変そうだけど、なんだかんだ面白そうだな、と。自分もサービスを作るほうになりたいな、という気持ちが上回ったんです。