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──帰国後、どのような経緯で起業されたのですか?

帰ってきてからはまず、プログラミングができるようになりたくて、未経験でも受け入れてくれる会社にエンジニアインターンとして入りました。

そこでRubyというプログラミング言語を学ぶことができ、すごく楽しかったんですけど、(AppBrew共同創業者で)代表の深澤から、「受託開発で手が回らないから手伝ってくれないか?」と言われて。彼とは東京大学の授業で出会い、「すごい面白い人だなー」と思って手伝っているうちに、いつの間にか起業していた、という感じです。



──東京大学に在学中だったのをいったん休学して、という形ですが、周囲から反対の声はありませんでしたか?

たぶん私の親に限らず、どの親も「一度は就職したら」「よく考えて」と言うと思うんですよね(笑)。それはもうある程度仕方ないな、と。でも、仲間と一緒にゼロから考えてサービスを形にするのは、本当に楽しくて。

やっぱり、そもそも自分が興味を持てることじゃないと、その領域を極められないじゃないですか。これなら自分が興味を持ってやり続けられそうだな、と思ったし、周りの起業家の先輩からも「休学するくらい、全然大丈夫だよ」って、背中を押してもらえました。

サービスクローズを繰り返しながらも目をつけた「コスメ市場」

──現在、主要サービスとして運営している「LIPS」を始めた経緯は何だったのですか?

創業時は受託開発が中心だったのですが、少しずつ自社でもプロダクトを開発するようになったんです。最初は代表の深澤が提案したPierskyやBotstarといったサービスを開発しては捨てて……というのを5回くらい繰り返していました。それで、やっぱり自分でも提案しようと思って、考えたのが「LIPS」でした。

前からコスメ市場って面白そうだな、と思っていました。季節や景気の変動による影響を受けにくいし、まずニーズがなくなることはない。それなのに、調べやすいアプリがあまり見当たらないし、スタートアップの参入も少ない。

個人的にツイッターやインスタグラムの美容アカウントやハッシュタグを追って調べたりしていたので、もっと便利な方法があれば絶対にニーズはあるはず、との思いがありました。

でも、代表をはじめメンバーは男性比率が高いですし、「女性たちが日常的にコスメを探している」ということにピンと来ていなかったみたいです。



自分もなかなか定量的な情報を提供できていなかったというのもあるけど、説得しながら、細々と開発していました。

──サービスのローンチ後から順調に成長していったのでしょうか?

ローンチしてからしばらくは、かなり厳しかったです。それまではずっとWebサービスを開発していたのですが、「LIPS」はうちで初めてのアプリサービスだったんです。SEOだけではユーザー流入も見込めませんし、広告をうまく活用して、なんとかユーザーを獲得しなければならない。

とはいえ、調達した資金も尽きるかどうか、というタイミングだったので、効果が見込める広告チャネルに絞って試してみよう、ということで、ふたりのユーチューバーさんとタイアップをお願いしたんです。

マーケティングにお金を使ったこともなかったので、もう祈るような気持ちでしたけど、想像以上に...というか、想定の何十倍もの流入があって、サーバーが落ちてしまった。嬉しいけどもったいない、みたいな。代表の深澤も「何をやっているんだ! 俺たちは!」って悔しがって(笑)。

2017年の秋まではスタッフも限られていたので、なかなか積極的に事業を展開していく、とはいきませんでしたが、最低限のカスタマーサポートに取り組みつつ、ユーザー流入をもとに機能の検証、改善、実装を地道に繰り返して、ユーザーの行動データを可視化して、どの施策が継続率に繋がっているのか検証して...実直にユーザビリティを高めてきました。

文=大矢幸世 写真=小田駿一

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