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「例えば、産業廃棄物の処理場、見たことあります?」と、深尾昌峰は言う。

「わんさか、わんさかと運ばれてくるんですよ。朝、工場でつくられた食品が、パッケージを開けることなく処理場に送られてきます。処理には膨大な費用がかかり、ここで働く人たちもおかしいと気づいています。でも、事業収益なので、『ゴミを減らしましょう』とは言いにくい。しかし、この業者の人たちが、我々に『一緒にやろう』と言っているのです」

産廃事業者がソーシャルビジネスの担い手になる──。深尾は「ローカルプロジェクトアセット」という言葉を使う。地域そのものが資源という意味だ。

では、どうやって「みんなの事業」に変わるのか。

1990年代から深尾はNPO団体の設立を通して、地域社会づくりに携わってきた。龍谷大学教授を務める深尾は、2012年にPLUS SOCIALという会社を設立。同社の金融会社が、深尾が会長を務めるプラスソーシャルインベストメントだ。

「現場に入り込んで、案件を組成するのが仕事です」と、深尾は言う。

例えば、ゴミを減らそうとすれば、啓発活動と同時に、堆肥や飼料に変える循環型の工場が必要だろう。深尾らが考えるのが、「地域証券」だ。業務提携した地銀や信金で窓口販売する。地域金融の顧客を社会的投資の参加者に呼び込めるし、提携した自治体はコストが下がり、投資家のリターンに反映できる。ソーシャル・インパクト・ボンドと同じ仕組みだ。

これまでも同社は私募債の形で資金調達を行い、和歌山県内や三重県内で再生可能エネルギーの発電事業を行ってきた。

「地元の金融機関で窓口販売されると、プッシュ型で地域の人に知らせることになります。また、この仕組みでゴミ処理場や保育園ができると、多くの人が投資はしなくても、その過程を目で見ることになります。“手応えが見える町の形”が大事だと思うのです」

金融機関もここにニーズがあると気づいており、協力的だという。

「プロトタイプをつくり、金融機関の潜在的ニーズを掘り下げたい」と言う。

「全国の金融機関がこの仕組みで地域の価値創造につなげられたら、僕らは解散してもいいと思うんですよ」

文=フォーブスジャパン編集部 写真=小田駿一

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