廉価版iPhoneの製造受注で注目の台湾企業「ペガトロン」の強み

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アップルが9月に発表する、廉価版iPhoneへの期待が高まっている。上位機種を300ドル近く下回る価格となる見込みの廉価版は、特に中国やインドなどの新興国で売上を伸ばしそうだ。

廉価版モデルの製造受託から莫大な利益を得る台湾企業が、台北本拠の「Pegatron(ペガトロン)」だ。アナリストによると、同社は廉価版に使用されるLCDディスプレイの製造に強みを持つ。創業11年のPegatronは廉価版の製造受注により大幅に業績を伸ばし、大手のフォックスコンと競合することになる。

調査企業「TrendForce」は、Pegatronが廉価版iPhoneの主要サプライヤーになると述べている。別のアナリストも同社が2018年の廉価版の製造受注の60%を担うことになると指摘する。Pegatronの競合には「Wistron」がいるが、Wistronはかつてアップルが認めない部品をLCDに組み入れ、品質の低いディスプレイを出荷した過去を持つという。

このため、Pegatronがより多くの受注を獲得したという。一方でフォックスコンはOLEDディスプレイ採用のiPhoneの組み立てに専念し、廉価版の製造は行なわない見込みだ。

調査企業「カナリス」のMo Jiaはこう話す。「Pegatronは今やアップルの主要サプライヤーの1社となった。同社は売上の多くをアップルに頼っており、アップル側としてはフォックスコンに対する依存度を下げることができた」

Pegatronはアジアのテクノロジー業界では古くから知られた企業だった。同社は台湾よりも製造コストが低い、中国に工場を置いている。アップルは7月に「チャイナ・クリーン・エネルギー・ファンド(China Clean Energy Fund)」と呼ばれるファンドを中国で設立したが、Pegatronはその初期の出資元の1社として参加した。これにより、Pegatronはアップルとの関係を緊密なものにした。

PegatronのCEOのLiao Shy-jangは2017年に、「アップルが望むのであれば、当社は米国で製造を行なうことも視野に入れている」と発言していた。Pegatronは今年のフォーブスの「世界の有力企業2000社ランキング(グローバル2000)」の1093位にランクインしている。同社会長のT.H. Tungは1989年に設立の「Asus」の共同創業者の1人だ。

同社は中国で5840万ドルの投資を行ない、アップルからのディスプレイ受注への準備を進めてきたと、アナリストの一人は述べた。アップルはこの件に関するコメントを避けた。

Pegatronの2017年の売上は387億ドル(約4兆3000億円)で、前年比で3.1%の伸びだった。

編集=上田裕資

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