道路インフラ向け投資額の大幅減、イタリア高架橋崩落の一因か

崩落したイタリア・ジェノバのモランディ橋(Photo by Jack Taylor/Getty Images)

イタリア・ジェノバで8月14日に起きた高架橋の崩落事故では、40人以上が死亡した。これほどの惨事に至った原因を明らかにするための調査は、今も続けられている。同国の運輸相は、崩落したこのモランディ橋の管理会社の幹部に辞任を要求。検察当局も、刑事事件として捜査を開始している。

1967年に建設されたモランディ橋は、全長およそ1.3km。耐用年数は少なくとも100年になるよう設計されていたと考えられている。この規模の橋には保守点検が義務付けられており、モランディ橋でも実際に点検は行われていたという。

過去にも世界各地で、橋の崩落事故が発生している。それらの中には、不十分な保守点検が原因となった例もある。また、コンクリートの経年劣化に関する計算ミスが設計上の問題につながり、壊滅的な事故の要因となることも指摘されている。

高速道路「A10」が走るモランディ橋は、交通量が年々増えてきていた。当初想定されていた以上の速さで劣化を進行させる一因になっていたかもしれない。だが、それでもイタリア政府が過去10年ほどの間に、インフラ投資を大幅に減額してきたことについては議論の余地がない。

OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2007年以降、ドイツ、フランス、英国では、道路の建設・補修などへの投資額が比較的高い水準で維持されてきた。一方、これに対してイタリアでは、2007年のおよそ136億6000万ユーロ(1兆7550億円)から、2010年には33億9000万ユーロ程度にまで減少していた。

イタリアの投資額はその後、2015年には約51億5000万ユーロに増加した。だが、同年のドイツの116億9000万ユーロ、フランスの100億1000万ユーロ、英国の90億7000万ユーロに比べれば、はるかに少ない額にとどまっている。

編集=木内涼子

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