悪習を直そうとすると逆に悪化? それでも諦めてはいけない理由

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あなたは、生活に変化を起こすことを心に決めている。より生産性を高め、恐怖心をなくし、クローゼットの整理をついに始める心の準備ができている状態だ。

変化させたいものを明確にさせるとすぐ、それを達成したいと今までにないほど強く感じるようになる。深く息をついて、何も心配することはないと自分に言い聞かせると、今度はパニックの感情が湧き上がってくる。健康的な食事をすると決心したのに、次の瞬間にはやけ食いのためドライブスルーに並んでいる自分に気づくかもしれない。

こうして人は「学習性無力感」を持つようになる。学習性無力感とは、変化を起こそうとしても抵抗があまりに大きく、その努力が無力なものに見えてしまうことだ。これは、あなたの人格や意志の弱さからくるものではない。悪習を変えようとすると逆に悪化してしまうことには、心理学的な理由がある。行動心理学で「消去バースト」と呼ばれるものだ。

消去バーストとは、ある行動を取っても報奨が与えられなくなり、その行動が消去される時に起きる現象だ。子どもがかんしゃくを起こしたり、関心を引こうと振舞ったりするのが典型例となる。こうした行動を起こしてもいつもの反応が得られない場合、その行動がさらに激しくなり、変化を起こそうとする試みは一見無駄で、効果がないもののように思われる。しかし驚くべきことに、悪習は消え去る前にピークに達するのだ。

同じことが大人に対しても言えるが、その過程は異なる。ほとんどの人は、忍耐力や安全地帯、不安の許容レベルの限界に達して初めて、人生に大きな変化を起こすことができる。大半の人は、人生をがらりと変えるような重要な変革を起こすとき、それまでにも増して強い抵抗を感じる。

悪習が逆にひどくなっているように感じる場合、それは悪習が脅かされている証拠なのだということを覚えておこう。悪習は消え去る直前にあり、それがどのような悪影響をもたらしているにせよ危機にさらされている。あなたが悪いわけでも、無力なわけでも、絶望的なわけでもない。この現象を体験しているあなたは、弱い存在ではないのだ。
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翻訳・編集=出田静

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