世界最大規模を誇る中国のゲーム業界は、中国当局が新作ゲームの審査を中止したことで大きな打撃を受けている。野村證券のアナリスト、Shi Jialongは最近のレポートの中で、「審査プロセスは近く再開される見込みだが、当局は望ましくないコンテンツの管理を強化しており、ゲーム会社は引き続き厳重な審査を受けることになるだろう」と述べている。
規制強化の影響を最も受けているのが、かつて中国で最大の時価総額を誇ったテンセントだ。同社が配信中の人気タイトル「プレイヤーアンノウンズ・バトルグラウンズ(PUBG)」のモバイル版は課金の許可が得られず、デスクトップ版の配信も実現していない。
また、WeGame上で配信していた「モンスターハンター:ワールド」は、コンテンツが不適切だとして販売停止に追い込まれた。テンセントが発表した今年第2四半期の業績は、ゲーム事業の減速を受けて利益が大幅に減少した。株価も暴落し、時価総額は1月のピークから1500億ドル(約16.6兆円)も失われた。
中国では、中国文化観光省と中国国家広播電視総局がゲームの審査を行っているが、審査は厳重で、企業は中国でゲームを配信するための認可と、ゲーム内課金を行うための認可を別々に取得する必要がある。
中国政法大学のZhu Wei教授によると、中国の政府機関はゲームに性的・暴力的な表現が含まれると判断した場合に取り締まる権限を持っているという。政府はネット規制強化を行なっており、共産党の価値観と相容れないコンテンツを排除している。
昨年は国営メディアがテンセントの大人気タイトル「王者栄耀(Honor of Kings)」が若者のゲーム中毒を増加させ、歴史上のキャラクターに超能力を持たせて歴史を歪めたとして同社を大々的に批判した。これを受け、テンセントは18歳未満のユーザーのプレイ時間に制限を設けた。
テンセントは、海外の多数のヒット作の配信権を取得しており、海外ゲームの審査が厳格化されることで収益に大きなダメージを受ける。同社が韓国の「BlueHole」から中国での配信権を取得した人気タイトル「PUBG」は、国営メディアから暴力的だとして批判された。