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発展途上国や、政情が不安定な地域では、国際機関や非政府組織(NGO)の活動も困難を極める。透明性やコスト削減を目的に、さまざまな機関がブロックチェーン技術の使い道を模索している。

マレーシアを拠点とするスタートアップ「インサイトメント(Incitement)」は企業のCSR活動、NGOなどの非営利組織、個人のボランティアの3者をブロックチェーン技術を活用したプラットフォームで結ぶことにより透明性と効率性を高め、さらに「CSRトークン」を発行することによりCSR自体の価値を高める事業「インパクター(Inpactor)」を6月中旬にローンチする。共同創業者でCEOのダニエル・デ・グルーシャーに話を聞いた。


─「インパクター」の仕組みは?

2種のトークンを利用する。まずNGO/NPOがプロジェクトの詳細をインパクターにアップロードする。この時点で多くの情報が必要だ。どのようなボランティアが何人必要か、報奨はあるのか、どのような社会的インパクトがあるのか、タイムライン、マイルストーン、スポンサー企業の露出の方法、そして予算。

企業はそれを見て、自社に合うプロジェクトを探し決めることができる。2者が合意するとスマートコントラクトが結ばれる。企業は予算額をインパクターに納め、ここでCSRiと呼ばれるプラットフォーム内でしか使えない固定価値のトークンに換算され、予算の使い道は可視化される。プロジェクトが終わると企業はCSRmというマーケットに流通可能なトークンを獲得する。プラットフォーム内での使用、寄付も可能だ。また、NGO/NPOはプロジェクト終了後のレポートをアップし、参加したボランティアがその信頼性を担保する仕組みになっている。

─なぜCSRにブロックチェーンを活用しようと思ったのか。

そもそもインサイトメントを2011年に創業し、社会的インパクト色の強いイベントのオーガナイズを行っていた。多くの企業、NGO/NPOと仕事をするなかで、予算の管理に最も問題があることがわかった。NGO/NPOは予算をオーバーしても請求できず、損失をかぶっていた。予算内に収まっても返金しなければならないので、埋め合わせの領収書を切っていた。

もう一つは、事後のレポートだ。企業側の五月雨式のリクエストにより300ページものレポートを書かされた例も見た。まずは予算の透明性の観点からブロックチェーンが使えると思ったが、実際にやってみると、CSRにおけるより多くの問題がスマートコントラクトによって解決できることがわかった。インサイトメント自体は手数料、広告、プレミアム機能購入による3つの収益モデルを考えている。

─インパクターにより大企業のCSRをどのように変えるのか。

社会的責任に敏感なミレニアルやY世代は、大企業にとって未来の消費者であり、社員だ。我々のビジョンは、すべての大企業が社会的使命に基づいて行動することだ。社会的インパクトと利益創出は切り離せない。非営利の業界があり営利の業界がある。それらは別々のものだが、新しいプラットフォームとコミュニティ、ビジネスモデルの開発を通じて2つはもっと近づくことができる。

ダニエル・デ・グルーシャー◎オランダ生まれ。2011年にマレーシアに渡り、出版エージェンシーのマーケティングのヘッドとして働いている際に共同創業者のジクリー・コリルに出会い、インサイトメントを創業。

この記事は「Forbes JAPAN 2018年08月号」に掲載されています。定期購読はこちら >>

文=Forbes JAPAN編集部

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