渡辺直美「本気でやれば目標は達成できる。大切なのはそれをどう続けるか」

コメディアン 渡辺直美


単独ライブはその後もやらせてもらいました。でも、20代前半の自分には何が求められていて、何をすべきなのかもわからなかった。芸人なのに自分の長所や短所が分からないままお仕事をいただく状況が続きました。

周りの先輩が全力でやっているなか、私みたいな若手がのんびりしているわけにはいきません。実力がないのに先輩と同じレベルのパフォーマンスをお客さんから求められるのは、贅沢なことかもしれませんが、きつかったですね。

でも、若いうちにそんな苦労を経験できて良かったと30代をスタートさせた今は思います。たくさん間違えたからこそ、結果を残せたこともありました。

でもやっぱり20代は辛かったから、もう戻りたくはない(笑)。今の自分が当時に戻って、もう一度挑戦してみるっていうのはやってみたいですけどね。

味方をしてくれる先輩がいたからは走り続けることができた

もしかしたら自分は芸人に向いていないのかもしれない。ネガティブに考えていた時期もありました。それを乗り越えることができのは、「お前は面白いぞ」って言ってくださった先輩たちの存在が大きいです。

もともと自信があったわけじゃありません。周りの人に褒められて育つタイプなんです。先輩たちが「こんな笑いが向いているんじゃないか」「お前は面白いからやり続けたほうがいいよ」と言ってくださったおかげで、じゃあやってみようかなって挑戦することができた。一人では、ここまで来ることはできなかったと思います。


コント番組「ピカルの定理」出演時、ピース又吉直樹とハライチ澤部 佑と。本人インスタグラムより

一度やる気になったら、もう、やれる気しかしなくなった(笑)。できないかもしれないじゃなくて、やれちゃうかも! って。じゃあこの先の目標はどうしよう? じゃあそれもクリアしたらその先はどうしよう? って、2個先くらいまで私は夢を膨らませていましたね。

将来これをやりたいと思って本気で取り組んだら、それは必ず実現する。私はそう思ってます。だから考えた方がいいのはその先。

目標を達成した先はどうするのかと考えておくと、長く走れるというか、計画を立てやすいと思います。ここでもし成功したら、次はこうなって、こうなると危ないから立ち止まってみて……。そんなことを繰り返して、私はここまでやってきました。

傷付くとわかっているのに、エゴサーチしてしまう

それでもやはり、ときどきは自信を失うこともあります。もちろん、私だって傷つくこともありますよ(笑)。

私、エゴサーチをすごくするんですよ。私のことが嫌いで、ありもしないことを書かれることも多いし、「こんなデブの何がいいんだよ」って書かれたこともあった。「インスタのフォロワー全員買ってるくせに!」とか。

ちなみに、インスタの投稿をするお仕事の依頼はたくさんいただいていますが、一切断っています。本当に!

最初のうちは、私に対する否定的なコメントを見るたびに落ち込んでいました。でも、きっと嫌なことを書き込む人って他人のことを悪く言って、ストレスを発散してるんですよね。

そう考えるとこれも一つのエンターテイメントだなと思えるようになりました。私は、「渡辺直美が嫌い」っていう感情を吐いてもらうエンターテイメントを提供しているんだ。そう考えたほうが楽、とわかったんです。それからは自分を悪くいう人がいても気にしないことにしています。
次ページ > グローバルな舞台での活躍に英語は必須ではない

文=守屋美佳 写真=小田駿一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事