しかし、バーチャル世界の存在であるハンターの加入は、今後のレアルに大きな利益をもたらすことが期待される。
「FIFA 17」から収録されているストーリーモード「The Journey」の最新版で、ハンターはレアルに加入した。ハンターは、プレミアリーグや英国代表チームを経て、ついにレアルへの加入が決まった。来月発売されるFIFA 19でハンターはルカ・モドリッチ(Luka Modric)やトニ・クロース(Toni Kroos)、セルヒオ・ラモス(Sergio Ramos)など実在のスターたちと並んでプレーし、UEFAチャンピオンズリーグ優勝を目指すことになる。
ハンターの移籍発表は、さながら実在の大物選手のような扱いを受けている。EAスポーツはプレスリリースを発表し、レアルのホームスタジアムであるサンティアゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabéu)ではチームメートのラファエル・ヴァランらの歓迎メッセージが表示された。また、ユニフォームを着たハンターがピッチ上でポーズを取って写真撮影し、「これ以上ないほど興奮している」とファンに向けてコメントする様子も映し出された。
レアルはハンターの肖像をクラブの公式サイトに掲載し、名前と背番号「29」をプリントしたジャージを159.99ドルで発売している。しかし、レアルの本当の狙いは、既存ファンとの新たな関係構築や新規ファンの獲得だ。
伝統的なスポーツチームはeスポーツが一時的なブームでは終わらないと考え、取り組みを本格化させている。これまでにプレミアリーグの「マンチェスター・シティ」や「ウェストハム」、ブンデスリーガの「FCシャルケ」や「VfLヴォルフスブルク」などのクラブがeスポーツに投資を行なった。
ミレニアル世代の次の世代であるZ世代は、伝統的なスポーツとeスポーツを融合して楽しむようになっている。レアルの首脳陣はこうした消費の変化が新たなビジネスチャンスを生むことに気づいている。
ハンターがレアルに加入したのはバーチャルな世界での話であり、ファンがロナウドの後任を探し求めていることに変わりはない。しかし、サッカーファンであることの意味合いは、eスポーツとの融合によって大きく変化することになるだろう。