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2018.08.21

子供の金融教育で「我慢する目的」を教えるべき理由

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この実験結果を引き合いに出し、「我慢できる子供は優秀である。よって子供には自制心を持たせないといけない」という話を耳にすることがある。しかし、その安直な発想は危険かもしれない。

その我慢は本当に必要か

我慢ができることは素晴らしい。しかし、なぜ我慢する必要があるのかを教えずに、ただ我慢することを善とするのは危険である。先程のマシュマロ実験でいえば、条件を理解したうえでスグ食べることが最も満足できる選択であるというならば、我慢せずに食べてしまうのが最も正しいのである。

我々日本人は無意識のうちに我慢することを美徳としている部分があるが、目的があって我慢することは素晴らしいが、何も考えず盲目的に我慢することは正しくない。

人間の欲望は無限である一方で、可処分所得には希少性が存在する。全ての欲望が満たせないという経済的な制約のもと、どの選択が最も効用が高いのかを考えて、最高の選択をする。同時に、その他の選択肢を放棄する。

難しいことを言っているようで、実はほとんどの子供が無意識のうちに実践していることである。

現時点で何が目的なのか。この点を常に意識させたうえで、お小遣いを貯めるのか、使うのかを判断させるよう、親は子供に接しなければいけない。お小遣いをもらったとき、特に欲しいものがないのであれば、スーパーに行ってお菓子を買うのもいい。もし、少し高価なゲームやおもちゃが欲しいのであれば、お菓子は我慢しなければいけない。

早い段階からこのような感覚を持たせられるかどうかが、将来的な金融への向き合い方に大きな差を与えるだろう。

【連載】0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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