F2Fは育種家や研究者と協力して開発しており、まずはトウモロコシと大豆の種子9種類を発売する。今後は農家から取得したデータを分析して、より農家のニーズに合った種子を開発していくという。「我々が実現しようとしていることは、農業分野の価格や流通、透明性において革命を起こすだろう」とFBNの共同創業者であるCharles Baronは話す。
現在、種子業界はダウ・デュポン傘下の「Corteva Agriscience」、中国化工集団傘下の「シンジェンタ(Syngenta)」、バイエルに買収された「モンサント(Monsanto)」の3社が独占している。FBNは、2019年の種まきシーズンに向けて1000もの農家が同社から種子を購入すると見込んでいる。
「我々は、素晴らしい遺伝的特徴を持った種子を育てている育種家のネットワークを構築した。今後は農家と育種家の距離を縮めたいと考えている」と今春FBNに入社し、種子ビジネスの責任者を務めるRon Wulfkuhleは話す。Wulfkuhleは「GreenLeaf Genetics」の元社長で、業界経験30年のベテランだ。
サンフランシスコ空港の南に本拠を置くFBNは、これまでにティー・ロウ・プライス(T. Rowe Price)やテマセク(Temasek)、クライナ―・パーキンス(Kleiner Perkins)、グーグル傘下のGV(旧グーグル・ベンチャーズ)などから総額2億ドルを調達している。
同社は米国の家族経営の農場を救うことをミッションに掲げており、業界における影響力を巨大農業企業の手から農家に移したいと考えている。農家が生産する農作物の年間総額は2000億ドルに達し、農家をネットワーク化することで原材料などのコストを下げ、より高い価格で農作物を売ることが可能になる。FBNはまだ黒字化を達成していないが、売上高は昨年の7200万ドルから2億ドルへと大幅に増える見込みだ。