信岡良彦 エヌエヌ生命保険執行役員 チーフマーケティングオフィサー 兼 経営企画部長ベンチャーマインドを大切にするエヌエヌ生命保険独自の取り組みとは?日本全体の課題とされる事業承継。実際に家業を承継した者と、承継を悩む若者がじかに語り合えるイベント「家業イノベーションラボ」が昨年末から始まった。5月に大阪を取材して感じたのは、そこから「共に手を携えて頑張ろう」という前向きな化学反応が生起していること。その意義と可能性を、エヌエヌ生命保険執行役員の信岡良彦氏に伺った。
中小企業にとって、なくてはならない存在になりたいそもそも我々が、中小企業に育ててもらったという出自もあり、その恩返しをしたいと常々願っていました。地方の中小企業を訪ねて回ったのですが、必ず出てくるのが事業承継の話題でした。また家業を持つ学生と会話するなかで、事業承継への熱い想いに度々触れてきました。何か我々にできる支援があるはずだというところから始まったのが、この家業イノベーションラボの取り組みでした。
参加者たちは、強い責任感や想いをもって参加し、問題に取り組んでくれています。先輩の家業イノベーターから、自分たちの家業に対する想いや悩みへの答えを学ぼうとしています。次世代のイノベーターたる後継者の応援をしていきたい。きっと無限大の可能性があると信じています。
もともとエヌエヌ生命保険は、ヨーロッパ発の生命保険会社としては最も早い1986年に日本法人を立ち上げています。以降、「中小企業とその経営者の皆さまが財務や財産の面で安定した将来を確保できるよう支援する」ことを使命に掲げ、試行錯誤を繰り返してきました。
中小企業向けの保険に注力して成長してきた生い立ちが、そのまま我が社の独自性へとつながっていきます。規模が大きすぎないからこそ、全国の営業拠点を中心にスピード感をもって動ける強みもあります。
このイベントはこれまでに東京、大阪、札幌で開催してきたほか、年内には島根でも開催を予定しています。どの地域に行っても家業を継いで活躍されている経営者や、逆に家業を継ぐべきなのかを悩まれている方、あるいは継ぎたいけれどどうすればいいのかが分からないという若い方たちなど大勢の参加者に恵まれ、確かな手応えを感じています。いま、テクノロジーの台頭により、保険会社も変革が求められています。生命保険の枠を超えて、サポートできることを追求していくことで、皆さんと一緒に成長していきたいと願っています。
中小企業と共に歩み、未来を拓く
日本は100年以上続く会社が世界一多い、老舗企業大国と言われている。しかし経営者の引退に伴い、2020年までに100万社を超える企業が廃業の危機に面しているという。事業と共に先代の想いを継承しながら、次世代を担う起業家精神をもつ若者を育てるために、どんな道筋があるのだろうか。
既存の会社だけでなく、次世代を担う「未来の社長」も支援エヌエヌ生命保険が中小企業から支持される理由はどこにあるのか? その理由は、生命保険業務の枠を超えた、家業イノベーションラボなどのさまざまな社会貢献活動に見い出すことができる。
我々が根底に見るのは、ありきたりではないベンチャーマインドである。かつて母体であるオランダ本社が、水害や火災に対しての保険を販売しながら、場を設けては顧客を集め、そうした自然災害から会社を守るための術を伝える講習会を行ったように、エヌエヌ生命保険の遺伝子には、常に「待ち」ではなく「攻め」の考え方が伝統的に存在し続けてきたのである。
日本のエヌエヌ生命保険がテーマに据えるのは、「未来の社長」という考え方。次世代を継ぐ学生や子どもたちを対象に、教育機会や起業・経営に関する育成機会を創出するべくさまざまなプログラムを企画し、定期的にイベントを開催している。
5月に大阪で開催されたイベントの様子例えば、2015年から実施している「高校生のためのソーシャルビジネス企画コンテスト」というものがある。これは、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本、ジュニア・アチーブメントヨーロッパ、NNグループとの共催により、高校生のソーシャルビジネス企画コンテスト「Social Innovation Relay」(ソーシャル・イノベーション・リレー、通称「SIR」)として行っているもので、国内大会の優勝チームはオンラインの国際大会へと進出。優勝チームは、ヨーロッパのカンファレンスに招待されるというものだ。
さらに、日本において困難な生活環境にある子どもたちを対象に、学習を通じて未来をつなぐ機会を生み出すことを目的とする支援活動も実施。ウォーキングやマラソンに参加し、その距離や完走者の人数に応じた寄付を行う活動も続いている。
将来、家業を継ぐかもしれないと考える学生や若手社会人を対象とし、同じ境遇にある同世代の仲間や先輩経営者、地域などとつながる機会を創出し、家業を基盤にイノベーションを起こすヒントを得るための「家業イノベーションラボ」など、エヌエヌ生命保険の社会貢献活動は、同業種の既成概念を超えた領域にまで踏み込んでいる。
オランダ発の生命保険会社がいま、日本の中小企業と手を携えて、共に歩き出そうとしている。
学生家業イノベーターを応援。イノベーション先進国オランダへエヌエヌ生命保険では、学生家業イノベーターを応援する目的で、イノベーション先進国オランダへの研修ツアーを開催。廃墟となったビルを魚や野菜などを育てる循環型農業の場として変化させた事例をはじめ、先進的な取り組みをする企業や研究施設などを見学する。家業継承のヒントを国際的な見地で求め、日本の中小企業をもり立てる取り組みの一環とする。家業イノベーションラボの参加を経て選ばれた3名の学生は、10月にオランダを訪れる。
日本法人エヌエヌ生命保険の母体となるNNグループは、オランダで1845年にネーデルランド保険会社として設立。以降ナショナーレ生命保険銀行との合併、INGグループ創設を経て、2009年にアメリカ、アジア・パシフィックにおけるINGインシュアランス(保険部門)の分離・独立プロセスを開始。16年にINGグループによるNNグループの全普通株式の売却に伴い、完全分離が完了。現在は世界18カ国で事業を展開している。
日本のエヌエヌ生命保険は、1986年にナショナーレ・ネーデルランデン生命保険会社N.V.日本支店として営業を開始。以来、全国約5000店の代理店を通じて、中小企業とその経営者が財務や財産、事業保障、事業承継、退職の準備などにおいて安定した将来を確保できるよう、法人向けの事業保険を提供している。
同社HP上では経営者たちの家業を継ぐことへの想いなどを紹介している。
https://www.nnlife.co.jp/pedia
エヌエヌ生命保険https://www.nnlife.co.jp家業イノベーションラボhttps://kagyoinnovationlabo.com/