関係筋によるとバイトダンスは新たに25億ドルから30億ドルの資金調達を目指しており、企業価値は700億ドルから750億ドル(約8.3兆円)を見込んでいる。動画アプリの「Tik Tok(ティックトック)」やニュースアプリの「今日頭条(Jinri Toutiao)」、Tik Tokの中国国内版の「抖音(ドウイン)」で知られる同社は、今回の資金調達で主に米国の投資家をターゲットにエクイティ調達を計画中と伝えられる。
ただし、交渉はまだ初期段階であり条件が変わる可能性もある。同社は新たな資金をグローバル展開の拡大に用いる意向だという。バイトダンスの広報部はこの件に関するコメントを控えた。
「CB Insights」のデータでは現在、世界で最も企業価値の高いスタートアップ企業はウーバーで、評価額は680億ドル(約7.5兆円)とされている。しかし、今回の資金調達が実現すれば、バイトダンスがこれを抜くことになる。
報道によるとバイトダンスは2017年の資金調達時に110億ドルの評価を受けており、出資元にはセイコイアキャピタルやGeneral Atlanticの名が並んでいる。同社はさらなる拡大を目指し、より高い評価額で資金調達にのぞむ構えだ。
バイトダンスが2016年に立ち上げた抖音は15秒の短編動画をシェアするアプリで、昨年10億ドルで買収した「Musical.ly」と併せて月間アクティブユーザーは5億人に達している。2012年にスタートしたニュースアプリ「今日頭条」のユーザー数は今年6月に2億6800万人に到達。テンセントの「Tencent News」の2億8800万人に迫っている。
一方で、バイトダンスは課題も抱えている。2000万人のユーザーを抱える同社のジョーク共有アプリ「Neihan Duanzi」は、下品で不適切なコンテンツを宣伝したとして、中国政府の怒りを買い、一時は配信停止に追い込まれた。
動画アプリの抖音でも、ユーザーが動画を真似た行為で大怪我を負い、政府系メディアから批判を浴びた。6月にバイトダンスは、プライバシー設定やペアレンタルコントロール、リスク検知システムを導入すると発表した。
調査企業「iiMedia」のZhang Yiは、バイトダンスの前途には今後も政府の規制リスクが待ち構えていると語る。
「高まる企業価値を正当化するために、バイトダンスは拡大を続ける必要がある。しかし、同社は常に規制のリスクにさらされることになる。中国政府のメディアの監視は、年々厳しくなっており、彼らはその動向を注意深く見極めていかねばならない」