ビジネス

2018.08.16

女性専用シェアスペース、「デジタル飽和点」超えた米国で急成長

ニューヨーク・SOHOにあるスペース(Courtesy of The Wing)


「女性限定」に批判も

「ミレニアルピンク」が象徴するザ・ウィングのコミュニティーの存在は、ある論争も呼んでいる。ニューヨーク市人権委員会は今春、同社の方針が差別的と言える可能性があるとして、調査を開始した。同社は男性の加入も、メンバーが男性を同伴することも認めていない。調査は現在も継続中だ。

一方、「女性限定」の方針はこの他にも、社会における「女性」の定義に関する議論を巻き起こしている。広報担当者によれば、ザ・ウィングは「自己認識としての性が女性である人、ノンバイナリージェンダーの人全ての入会を認めている」という。

だが、「自己認識」とされるものに限界はないのだろうか。ないとすれば、その定義は経営方針にどのように反映されるべきなのだろうか。ザ・ウィングが直面する難しい問題だ。ただ、一つ明確なことは、彼女たちがこの問題に関する議論を避けようとはしていないということだ。

ゲルマンとカッサンは最終的に同社を、「フェミニズムのための“ミトコンドリア”のようなもの」にしたいと考えている。会話が触媒となり、ネットワークが強化され、確立されていくための原動力となる場所を目指すということだ。

セクハラなどの被害を告発する「#MeToo(私も)」運動やウィメンズ・マーチ(女性たちの行進)など全米規模で行われた大規模なイベントを通して、米国は文化的な変化を経験している。社会の中に女性のためのスペースがあることの必要性を認識し、実際にそれを作り出そうとする変化だ。

編集=木内涼子

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