ビジネス

2018.08.16

女性専用シェアスペース、「デジタル飽和点」超えた米国で急成長

ニューヨーク・SOHOにあるスペース(Courtesy of The Wing)

女性だけでつくる働く女性のための「ザ・ウィング」は2016年の創設以来、順調にメンバーを増やしている。

いずれも31歳のオードリー ・ゲルマンとローレン・カッサンは、目まぐるしい日常から離れるための場所を求める女性たちに交流や学習、仕事のための場を提供しようと、共同で同社を立ち上げた。

メンバーはすでに5000人を超え、入会希望の順番待ちリストは長くなり続けている。メンバーには女優のレナ・ダナムやラッパーのレミー・マ、コスメブランド「Glossier(グロッシアー)」のエミリー・ワイス最高経営責任者(CEO)、(米軍などの機密情報を漏洩したとして有罪判決を受けた)チェルシー・マニングなど、よく知られた人たちの名前もある。

ザ・ウィングは、ほぼ完全に有機的に拡大しているという点でも珍しい企業だ。宣伝活動は行っておらず、主にソーシャルメディアと口コミ、創業者たち自身のネットワークだけを通じて、メンバーを増やしている。ゲルマンによると、メンバーの平均年齢は34歳。今後は20~50代までの幅広い年齢層の働く女性たちを呼び込みたいと考えている。

NYを拠点に事業を拡大

ニューヨークのフラットアイアン地区に最初のスペースを開設して以降、同社は4カ所(ニューヨークに2カ所と、ワシントンDCとサンフランシスコにそれぞれ1カ所)を開設した。

会費は1カ所のスペースのみ利用の場合で月額215ドル(約2万3900円)、または年額2350ドル。複数の場所にあるスペース全ての利用が可能なプランで月額250ドル、年額2700ドルとなっている。

メンバーなどの希望を受け、同社はさらに事業を拡大する方針だ。2019年にはウィリアムズバーグ(ブルックリン)、シカゴ、シアトル、ボストンのほか、パリ、トロント、ロンドンでの開設を計画している。

昨年11月にはシリーズBラウンドでコワーキングスペース運営大手のウィーワークなどから3200万ドルを調達した(シリーズAでは800万ドルを調達)。ゲルマンは、「予想していた以上の成長を実現できた」と話している。

ただ、ビデオ通話の「フェイスタイム」やインスタグラムの「ストーリーズ」が普及しているこの時代に、女性たちが実際に集まる場所をつくることがそれほど重要な理由はどこにあるのだろうか?

これについてゲルマンは、「社会として私たちは、“デジタルの飽和点”に達したということだ」と説明する。

「ノスタルジアだ・・・同じような価値観を持つ人たちと会うことができる場所は、今すぐデジタルデトックスが必要な人たちにとって、本当に魅力的だ」
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編集=木内涼子

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