1. 勢いづく「Jビューティー」
ここ数年、トレンドを主導してきたのは韓国の化粧品ブランド(Kビューティー)だった。米国をはじめ世界中の化粧品店が、革新的で中には奇抜なものもある韓国メーカーのスキンケア商品であふれた。
だが、美容業界は今年に入り、効能や品質により定評のある日本のブランド、「Jビューティー」に目を向け始めた。天然成分や伝統的に使われてきた原料を使用するものが多い日本の化粧品は、製品開発サイクルを短期化することやトレンドを生み出すこと以上に、品質や信頼性を重視する。
日本のブランドがK-ビューティーに取って代わるとすれば、“スロービューティー”という言葉が聞かれるようになるかもしれない。
2. 高まる男性消費者のニーズ
男性向けグルーミング製品の需要が増加している。比較的最近になって男性たちが取り入れるようになったスキンケア製品は、今後の急成長が見込まれている。
また、若い男性消費者の間では色モノのコスメまで使う人も増えている。現時点では小規模な市場ながら、メイクアップ分野も大きく成長するものと期待されている。こうした傾向は、業界に大きなチャンスをもたらすと考えられる。
3. さらに増大するインフルエンサーの影響力
美容関連製品の最も強力なエンドーサーは長い間、映画スターたちだった。だが、いまや市場に対する多大な影響力を持つのは、ソーシャルメディア上で人気を集めるインフルエンサーだ。
有力ブランドも高級ブランドも同様に、1990年代後半~2000年代初めに生まれた「Z世代」の関心を引くため、セレブリティーとインフルエンサーの双方から協力を得ようとしている。この世代は特に、ソーシャルメディアに大きな影響を受ける。
インフルエンサーたちはファッションをはじめ、小売業界の数多くのカテゴリーで企業と提携している。なかでもそうした協力関係が目立つのは、コスメ業界だ。以下、いくつかの例を紹介する。
・ ローラメルシエ:インスタグラムで360万人近いフォロワーを持つアイミー・ソンと50万ドル(約5560万円)で契約したと報じられている。
・ ベッカコスメティクス:業界誌WWDによると、インフルエンサーでメイクアップアーティストのジャクリン・ヒルの協力を得て2016年に発売した「フェイスパレット」コレクションの売上高は、発売からわずか90分で100万ドルに達したという。
・ ベアミネラルズ:昨年発売したメイクアップラインに関連して、インフルエンサーのイングリッド・ニールセンと50万ドル以上で契約したとされる。
・ フレデリック・フェッカイ:ヘアケア製品のブランドとヘアサロンを展開する同社は、インフエンサーのテニ・パノシアンと広告契約を結んでいる。
・ メイベリン:ロレアル傘下のメイベリンは、再生回数が最も多いユーチューバーの一人、インフルエンサーのニッキー・デジャガーと契約。同社のユーチューブ・チャンネルで動画を公開している。