この件で大手通信会社は代替ルートを模索し、その後数年で海底や海底以外の場所に様々なケーブルが敷設された。
しかし、こういった対処でも太刀打ちできない危機がある。気候変動による海面上昇だ。
ウィスコンシン大学マディソン校とオレゴン大学の研究結果によると、アメリカで地中に埋まっている光ファイバーケーブルのうち4000マイル(約6440キロメートル)以上と、1100以上の中継ポイントが2033年までに水没するという。ネット接続に最も支障が出る都市はシアトル、マイアミ、そしてニューヨークだ。
論文の著者のRamakrishnan Durairajanは次のように述べた。
「海面が上昇すると津波やハリケーン、沿岸のプレート境界付近での地震などが起きる可能性も高まる。これらはインフラにさらに負荷を与える要因となる」
問題は防水性のある海底ケーブルではなく、防水性が高くない陸地のケーブルなのだ。この研究ではアメリカでのみのリスクを見積もっており、7月中旬に行われた学会「Association for Computing Machinery」などで発表された。研究にはアメリカ海洋大気庁が発表している海面上昇の予想マップと、敷設されているケーブルのマップを利用した。
被害の規模は現段階では算出できず、解決策や対策は提示されていない。予想以上に海面上昇が進んでいることを受けて、警告の意味で発表したという。
「今後100年以内に起きうる損害は、想像以上に早く起きる可能性が高い」と上席筆者のPaul Barfordは述べている。「この事実に我々は驚きを隠しえない。対策を練るのに50年の猶予があると考えられていたが、もはやそれほどの時間は残されていない」
ハリケーン・サンディーやカトリーナで発生した洪水による被害を思い浮かべれば、事態の深刻さは想像できるだろう。政府が何らかの対策を講じなければ深刻な問題が発生しかねない。2033年まであと15年しかないのだ。