──今回の芸術祭を通して一番伝えたいこと、訪れた人たちに感じて欲しいことはありますか。
北川フラム:今期の芸術祭を通して一番伝えたいのは「遊びこそが人生である」ということ。人間、いつだって遊んでないとダメ。誰だって面白いことができる訳です。だって、こんな四畳半のちっぽけなスペースでここまで遊べるのだから、なんだってできる。鬱屈したこの世の中で、なんでもやっていいんだという勇気と同時に、お金なんてなくても楽しいことはできるんだと感じて欲しいです。
都市を離れて自然に身を置くと、五感が使われていることに気づくはず。五感を使い、遊んだ人間こそよく生きることができるんです。中世の時と同様に、鬱屈さがあるからこそ、工夫し乗り越えてそこから解放をする必要があります。そうしたら、見えていない世界が見えてくるようになるかもしれません。いつの時代も鬱屈からイノベーションが生まれていますから。
いままでの越後妻有の弱点は、作品の数が多すぎるところでした。正直、お客さんは芸術祭に来られても1、2泊がほとんど。その時間でまわれる数は限られている一方で、作品がたくさんあり何をどこから見たらいいのかわからない。ストレスもあったかと思います。
だから今回の芸術祭は、二つのルートを作りました。「シャケ川のぼりコース(信濃川・河岸段丘編)」と「カモシカぴょんぴょんコース(里山・土木編)」。このコース沿いに新作が点在しています。2日あれば、その両方を楽しむことができます。もちろん他にもたくさんあるのですが、残りは3日目以降に楽しんでほしいと思います。
今回の大地の芸術祭公式オーディオガイドON THE TRIPでは、体験版キナーレ編ガイド、体験版農舞台編ガイド、それら2地域と他地域に散らばる60作品を紹介する全編ガイドの3つを用意しました。ぜひ、それぞれのガイドとともに大地の芸術祭の旅を体験してください。
連載 : あらゆる旅先を博物館化する
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