ビジネス

2018.08.16

「石の上にも3年」の呪縛から脱する、正しい判断軸の作り方

jamesteohart / Shutterstock.com


翻って、今はどうか。

世界経済を支える企業は、テクノロジーを軸としたサービス業へと主役が交代し、生産(というより、サービスのリリース)の単位は半年、数カ月、いや、スピードを重視するスタートアップでは数週間にまで短縮されていることもある。

「3回クール」が1年以内に終わってしまう仕事環境が増えているという前提を、私たちは知っておくべきだろう。ということは、「石の上にも3回」を充分に経た上での結論であれば、3年以内に会社を退職することに対して、後ろめたさや敗北感を抱く必要はない。充分に検討した結果である、と堂々としていい。ただし、「3回試す」という経験をきちんと語れるだけのチャレンジははぜひしてほしいと思うわけだが。

ただ試行錯誤に要する時間には個人差もあるので、逆にこうも言える。“石の上にも3回”が、5年かかることもある。

例えば、10年がかりで船をつくるような長期に渡る仕事の場合は、3回クールに30年かかる。仕事の内容や個人の資質によって、かけるべき時間は短くもなるし長くもなる。要は「3年にとらわれる必要はない」と言いたい。

3回チャレンジしてみて、「辞めるほどではないが、もっと面白がれる仕事があるかもしれない」と煮え切らなければ、副業(複業)やボランティアで、肩書きを増やしていくのもいい。

これからはマルチキャリアの時代と言われる。これまでは「履歴書にたくさんの職歴が並ぶとネガティブな印象を与える」と言われていたが、これからは180度変わる。多様な体験が評価される時代に、すでに突入している。

履歴書のフォーマットも縦一列で書き込む形式ではなく、同時期に経験している複数の肩書きが書き込める、新しいフォーマットに変わるかもしれない。

キャリアに対する考え方については、劇的な時代の変わり目に立っている。そして、自由な発想を持つことを恐れないでほしいと願っている。

連載:自分自身の育て方
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文=中竹竜二 構成=宮本恵理子

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