開発目標としては、1の「貧困をなくそう」から始まり、17の「パートナーシップで目標を達成しよう」まで、2030年までに世界が一致して取り組むべき17項目が並ぶ。
日本では昨年11月、経団連が、SDGsの理念に合わせて企業行動憲章を改訂したあたりから、そのアイコンがより広く人々の目に触れるようになった。
企業に関して言えば、経団連の動きに歩調を合わせるかのように、自社の取り組みとしてSDGsに向き合うケースも多くなってきた。あまつさえ、最近では、SDGs的思考が、ビジネス上でもメリットを生むという報告もされている。
ようやく、日本でも本格的になってきたSDGsだが、いち早くこれに取り組んできた企業が、「笑い」を中心に据えたエンタテインメント産業の吉本興業だ。
吉本興業は2017年1月、国連広報センターとの協働で、東京・新宿の「ルミネtheよしもと」でSDGsキックオフ講演会を開催した。加えて、合計約1000人の社員や所属芸人・タレントに向けて勉強会も実施した。続いて10月には、自社所属の芸人を配して「SDGsについて考えはじめた人々」という動画集を製作。翌年2月、これに英語字幕がつき、「#FunnySDGValentine」というタイトルでニューヨークから発信され、多く人々の共感を得た。
今年4月には、同社が運営にも関わる第20回沖縄国際映画祭で、芸人の似顔絵とSDGsのロゴが入ったスタンプラリーを開催。これは、SDGsの17の開発目標をスタンプにし、集めるとプレゼントがもらえるという企画で、楽しみながらSDGsの理解を深めるのが狙い。吉本興業の社員が考えたアイデアだという。
歩きながらSDGsを学ぶ
このように、自社が関係する各種イベントの都度、SDGsに関する広報を積極的に努めてきた吉本興業だが、先の8月1日から8日まで、北海道・札幌で行われた「みんわらウィーク」でも、歩きながらSDGsを学ぶ「SDGsウォーク」というイベントを主催した。
「みんわらウィーク」は2016年から始まったもので、8月8日を「道民笑いの日」と制定して、「笑い」の力で健康長寿の北海道を目指そうというもの。今年も、吉本所属の芸人やタレントが大挙して来道、お笑いライブから吉本新喜劇の公演まで、各種イベントが展開された。
なかでも、「SDGsウォーク」は「みんわらウィーク」のシンボル的なイベントとして位置づけられたもので、実は、去年も開催を企画していたのだが、あまりにも大規模になり、道路使用許可が間に合わなかったため、今年、満を持しての開催となった。
「SDGsウォーク」では、チェックポイントに開発目標を記したボードが設置され、参加者はそこでSDGsに関する理解を深める仕組み。左端はアスリート参加の岡崎朋美
コースは、札幌の中島公園をスタートとゴールに公園内をまわる2kmコースと、赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)や北大キャンパスをめぐる10kmコースのふたつがあり、その途中のチェックポインに置かれたSDGsの缶バッジを集めながら、SDGsについて理解を深めるというものだ。