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2018.08.15 16:30

真夏の札幌で「SDGsウォーク」 よしもと流の社会貢献



参加者は、互いにコミュニケーションを深めながらウォーキング。漫才コンビ和牛の川西賢志郎(中央)はいちばんの人気者

8月4日、午前9時、スタート地点の中島公園・自由広場には、500人を超える参加者が集まった。吉本興業所属の芸人からは、次長課長・河本準一、すっちー、品川庄司・庄司智晴、和牛などが参加。

さらに岡崎朋美(スケート)をはじめ、カズ山本(野球)、星野伸之(野球)、斎藤隆(野球)、石橋貴俊(バスケットボール)、田中光(体操)、河口正史(アメリカンフットボール)、中西悠子(水泳)などのアスリートたちも顔を揃えた。

当日の天候は曇りで、気温は22℃。北海道特有のドライで爽やかな空気も加わり、歩くのには絶好の気候。参加者たちは、芸人やアスリートたちと会話を交わしながら、なごやかにSDGsを学びながらウォーキングを楽しんだ。

街行く人たちへも認知拡大

10kmコースには札幌市内の名だたる観光スポットが入っているため、SDGsウォークの集団は、街行く人たちからも注目を浴び、「いまの岡崎朋美じゃない?」などという声も聞こえてくるなど、SDGsの認知拡大という意味でも大いに役立っていた。



「北海道大学の構内が広く、そこだけで3kmくらい歩きました。北海道は土地が広くていいですね」と、岡崎朋美はウォーキングを楽しんだ様子。また、和牛の川西賢志郎は、道中、チェックポイントに設定されていたSDGsの目標のなかで気になったものを尋ねられ、次のように答えた。

「やっぱり関心があるのは、2の『飢餓をゼロに』ですね。日本は豊かなので身近ではないですが、世界はそこまでではない。相方の水田みたいにポチャポチャしていると幸せそうですからね。ぜひ飢餓がなくなってほしい」

また、国連広報センター所長の根本かおるは、「みんなが同じSDGsのトートバッグを持ったり、ゼッケンをつけたりしているので、参加者同士に一体感が生まれ、初めての相手とも歩きながら自然に話ができるのも、このイベントの素敵なところでした」と大絶賛。

SDGsの缶バッヂが置かれた各チェックポイントはもとより、アスリートや芸人、参加者から街行く人たちも含め、SDGsに対して、新たな関心を集めたことは確かだ。さらに歩きながら話し合うことで、その知識をより深めることにもなったのではないだろうか。

消費者庁ともコラボ

ところで、「みんわらウィーク」では、開催期間中、吉本新喜劇の人気者すっちー率いる「父と息子の絆、騙されたら、いやや~」という芝居も上演されていた。こちらはSDGsではなく、消費者庁とコラボし、同庁が運用する消費者ホットラインの電話番号「188」(いやや)を劇中に織り込んだもの。

8月5日には、芝居が終わったあとに、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)の福井照が登場。大阪市出身で、幼い頃から吉本新喜劇を観て育ったという福井は、今回の消費者庁とのコラボについて次のように絶賛した。

「現時点で消費者ホットラインの番号188の認知度はまだ6.6%。早めに相談することは被害の拡大防止に繋がりますので、積極的に188に電話をしてください。劇中のセリフに188を巧みに取り入れていただいたので、楽しくPRできたと思います」

SDGsにしろ、消費者庁の188にしろ、吉本興業の「笑い」から発信する社会貢献への取り組みは、まずは順調に実を結んでいると言ってもいいだろう。

ただ、今年初めの電通の調査によれば、日本でのSDGsに対する認知率は、わずか14.8パーセント。世界20カ国・地域における平均認知率が51.6%なので、けっして高いとは言えない。果たして、これからどのようにすればこの認知率は上昇するのか。吉本興業の取り組みも、まだほんの入り口に立っただけなのかもしれない。

文=稲垣伸寿

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