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2018.08.15

真夏の札幌で「SDGsウォーク」 よしもと流の社会貢献

札幌の繁華街すすきのから程近い中島公園に集合した「SDGsウォーク」参加者たち。芸人&アスリートを中心に記念ショット

このところ、SDGsの開発目標が記されたカラフルなアイコンをよく目にするようになったのではないだろうか。SDGs(Sustainable Development Goals)とは、つまり持続可能な開発目標、2015年9月に国連サミットで採択されたものだ。

開発目標としては、1の「貧困をなくそう」から始まり、17の「パートナーシップで目標を達成しよう」まで、2030年までに世界が一致して取り組むべき17項目が並ぶ。

日本では昨年11月、経団連が、SDGsの理念に合わせて企業行動憲章を改訂したあたりから、そのアイコンがより広く人々の目に触れるようになった。



企業に関して言えば、経団連の動きに歩調を合わせるかのように、自社の取り組みとしてSDGsに向き合うケースも多くなってきた。あまつさえ、最近では、SDGs的思考が、ビジネス上でもメリットを生むという報告もされている。

ようやく、日本でも本格的になってきたSDGsだが、いち早くこれに取り組んできた企業が、「笑い」を中心に据えたエンタテインメント産業の吉本興業だ。

吉本興業は2017年1月、国連広報センターとの協働で、東京・新宿の「ルミネtheよしもと」でSDGsキックオフ講演会を開催した。加えて、合計約1000人の社員や所属芸人・タレントに向けて勉強会も実施した。続いて10月には、自社所属の芸人を配して「SDGsについて考えはじめた人々」という動画集を製作。翌年2月、これに英語字幕がつき、「#FunnySDGValentine」というタイトルでニューヨークから発信され、多く人々の共感を得た。

今年4月には、同社が運営にも関わる第20回沖縄国際映画祭で、芸人の似顔絵とSDGsのロゴが入ったスタンプラリーを開催。これは、SDGsの17の開発目標をスタンプにし、集めるとプレゼントがもらえるという企画で、楽しみながらSDGsの理解を深めるのが狙い。吉本興業の社員が考えたアイデアだという。

歩きながらSDGsを学ぶ

このように、自社が関係する各種イベントの都度、SDGsに関する広報を積極的に努めてきた吉本興業だが、先の8月1日から8日まで、北海道・札幌で行われた「みんわらウィーク」でも、歩きながらSDGsを学ぶ「SDGsウォーク」というイベントを主催した。

「みんわらウィーク」は2016年から始まったもので、8月8日を「道民笑いの日」と制定して、「笑い」の力で健康長寿の北海道を目指そうというもの。今年も、吉本所属の芸人やタレントが大挙して来道、お笑いライブから吉本新喜劇の公演まで、各種イベントが展開された。

なかでも、「SDGsウォーク」は「みんわらウィーク」のシンボル的なイベントとして位置づけられたもので、実は、去年も開催を企画していたのだが、あまりにも大規模になり、道路使用許可が間に合わなかったため、今年、満を持しての開催となった。


「SDGsウォーク」では、チェックポイントに開発目標を記したボードが設置され、参加者はそこでSDGsに関する理解を深める仕組み。左端はアスリート参加の岡崎朋美

コースは、札幌の中島公園をスタートとゴールに公園内をまわる2kmコースと、赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)や北大キャンパスをめぐる10kmコースのふたつがあり、その途中のチェックポインに置かれたSDGsの缶バッジを集めながら、SDGsについて理解を深めるというものだ。
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文=稲垣伸寿

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