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2018.08.15 11:30

トム・クルーズはいつまでこの「ミッション」を続けるのだろうか?

トムにとって、この時期は、自らの映画人としての立ち位置を決める重要な岐路であったに違いない。その後、シリーズ2作目の「ミッション:インポッシブル2」(2000年)以降、アカデミー賞など無視するかのように、自らの資質であるアクション俳優の道をひた走る。そして、その駆動力ともなったのが、「ミッション:インポッシブル」シリーズだったのだ。

このシリーズは、1作目当初から、プロットが複雑でわかりにくいと言われていた。そもそも原作は、日本でも放送されていたテレビドラマ「スパイ大作戦」なのだが、映画では、テレビドラマの主役でもあるジム・フェルプスを裏切り者としたり、新人の工作員であるイーサン・ハントを主役にしたりで、かなり根本的な改変を行ってもいる。

ただ、複雑なストーリー展開を補って余りある、スピード感溢れるアクションシーンは、シリーズ全作にわたっての見どころでもある。たとえ、途中で物語に置いていかれたとしても、画面いっぱいに繰り広げられるアクションだけで、最後まで観てしまえるという不思議な作品でもあるのだ。

錯綜する印象のストーリーも、後で繰り返して観るとかなり緻密につくられている。しかもシリーズとして連動している部分もあり、イーサン・ハントというひとりのスパイのサーガ的要素も含まれている。劇場のスクリーンでアクションを堪能した後は、DVDや配信でもう一度、このシリーズを楽しむという味わい方もある。



それにしても、当年とって56歳のトム・クルーズ、このペースで行けば、シリーズ次回作は60歳に手が届く年齢となる。「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のメイキング映像を観る限り、トムはあいかわらず全力で体を張ったアクションに挑戦している。

「007」のジェームズ・ボンドのように、主演俳優が交替していくというケースはこのシリーズではありえないと思うので、次にトムがどんなスーパーなアクションを見せてくれるのか、そしてシリーズを牽引するプロデューサーとしてどんな製作手腕を発揮するのか、その「ミッション」がまだまだ続いていくことを期待したい。

連載 : シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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