このシリーズは、1作目当初から、プロットが複雑でわかりにくいと言われていた。そもそも原作は、日本でも放送されていたテレビドラマ「スパイ大作戦」なのだが、映画では、テレビドラマの主役でもあるジム・フェルプスを裏切り者としたり、新人の工作員であるイーサン・ハントを主役にしたりで、かなり根本的な改変を行ってもいる。
ただ、複雑なストーリー展開を補って余りある、スピード感溢れるアクションシーンは、シリーズ全作にわたっての見どころでもある。たとえ、途中で物語に置いていかれたとしても、画面いっぱいに繰り広げられるアクションだけで、最後まで観てしまえるという不思議な作品でもあるのだ。
錯綜する印象のストーリーも、後で繰り返して観るとかなり緻密につくられている。しかもシリーズとして連動している部分もあり、イーサン・ハントというひとりのスパイのサーガ的要素も含まれている。劇場のスクリーンでアクションを堪能した後は、DVDや配信でもう一度、このシリーズを楽しむという味わい方もある。
それにしても、当年とって56歳のトム・クルーズ、このペースで行けば、シリーズ次回作は60歳に手が届く年齢となる。「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」のメイキング映像を観る限り、トムはあいかわらず全力で体を張ったアクションに挑戦している。
「007」のジェームズ・ボンドのように、主演俳優が交替していくというケースはこのシリーズではありえないと思うので、次にトムがどんなスーパーなアクションを見せてくれるのか、そしてシリーズを牽引するプロデューサーとしてどんな製作手腕を発揮するのか、その「ミッション」がまだまだ続いていくことを期待したい。
連載 : シネマ未来鏡
過去記事はこちら>>