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2018.08.12

全米ゴルフ協会が身代金ウイルス感染、犯人はビットコイン要求

Mikael Damkier / Shutterstock.com

8月9日、男子ゴルフの米国ツアーメジャー最終戦、第100回全米プロゴルフ選手権がスタートしたが、主催する全米プロゴルフ協会(PGA of America)のネットワークが、身代金ウイルスに感染していたことが明らかになった。

ゴルフ専門誌「Golf Week」の記事によると、身代金ウイルスによって今回の大会運営に関わるドキュメントのいくつかが暗号化され、閲覧不可能になっているという。そのなかにはイベントの告知用の素材及び、大会のロゴなどが含まれているという。

セキュリティ企業「Bleeping Computer」はPGAのシステム上に残された文言が、BitPaymerと呼ばれる身代金ウイルスのものと類似していると指摘した。BitPaymerに感染した場合、有効な対処法はなく、犯人らは身代金の支払いを要求しているという。

犯人らはビットコインウォレットのアドレスと、2件の暗号化されたEメールアドレスを提示している模様だが、身代金の額は明らかにされていない。しかし、Bleeping Computerによると以前のBitPayme攻撃では、ファイルの復旧と引き換えに53ビットコインを要求していたという。これは34万ドル(約3800万円)以上に相当する金額だ。

ハッカーらは彼らの復旧ツールが有効である証拠として、2つのファイルの暗号の解除を申し出ているという。PGAは取引に応じる意向はなく、身代金は支払わない方針であると伝えられている。

身代金ウイルスに感染した場合、暗号化の解除のみが復旧手段ではない。バックアップデータを用いて復旧を行なうほうが、素早く安全な対処となる場合も多く、身代金を支払う必要もない。

現在、PGAのIT部門のスタッフは全力で復旧作業にあたっており、ゴルフ選手権の運営自体に問題は起きていない。PGAは今回の事態が解決されるまで、一切のコメントは控えると述べている。

編集=上田裕資

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