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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」


重役との会議で、中山はエンジンも新しいデザインが必要だと強調した。長年にわたりユーザーから懇願されてきた、「もっとパワーを!」というリクエストに応えるべきだと。

新しい2Lエンジンこそ啓示的だ。新しいエンジンと呼んだが、それは中山が「パワーをもっと出し、ドライビングの快感を高めるためにエンジンの80%以上デザインし直した」と話したからだ。

シリンダーの頭部、クランクシャフト、ピストンとバルブなど、エンジンの重要な部分が再設計され、パフォーマンスとそのサウンドを高めるために補強されている。



従来の158psから、184psに上がり、最高出力が出るレッドラインは従来の6800回転から7500回転に上がった。現行型と新型の2リッターを比較した時に、パワーの出方は4000回転まではほぼ同様だが、4000回転を超えると新エンジンが本領を発揮して7500回転まで力強く上昇。しかし、一番驚くのは6000から7500回転の域だ。

6000回転を超えると、怒濤のトルクが発揮されて、どんどん加速する。まるで、エンジンに2つの人格があるようだ。6000以上になるともう1つの人格とエギゾースト音が現れる。エンジン音がより太く、豊かでより金属っぽくなったのは、サイレンサーを改良した端的な結果だろう。

新しいエンジンを載せたマツダは、ロードスターという協奏曲を書き直したのだ。あるいは、これまでの2Lエンジンは、テノール、バリトンとバスがメインのオペラだった。ところが今回、ソプラノという新しいエンジンを登場させ、より華やかでパワフルで、緊張感のある舞台に生まれかわらせた。この主役はしっかりと濃厚で、支配力がある。事実、日本製の自然給気の2Lエンジンで最高のエンジンといえるだろう。

ただし、ちょっと首を傾げた点はステアリングだ。特に高速度で方向を変えたいとき、その反応はちょっとクイックすぎて、少しダイレクトすぎるかもしれない。ステアリングのギア比を多少遅めたり、サスペンションを少し調整することによって、より良いバランスが取れるのではないか。



それでも、ドライバー指向のロードスターを各段に進化させた2つの改良点によって実現した新鮮な驚きと興奮が、これら小さな問題で冷めることはあり得ない。こんなにドラマティックな変身を、いったい誰が想像できただろうか。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーター・ライオン

マツダピーター・ライオンノキアジンガタゾマツダ
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