CNMI下院議会は賛成18、反対1、棄権1で法案を可決させ、21歳以上の成人の大麻使用を合法化しようとしている。この法案は医療大麻や産業用大麻繊維(ヘンプ)についても適用される。
「北マリアナ諸島連邦の人々は、大麻の禁止が誤った認識に起因したものであることを認識している。議会のリーダーらは市民感情に沿うかたちで今回の決定を下した。CNMI下院議会は人々の意志を尊重する」と議員連盟のメンバー、Lawrence Duponcheelは声明で述べた。
法案が成立すれば、北マリアナ諸島連邦は米国の司法権のもとで、医療目的及び嗜好目的の大麻使用を一気に合法化する最初の地域となる。この地域では、米国の他州での大麻の合法化の前提とみなされる医療大麻プログラムがこれまで存在していなかった。
さらに、住民投票ではなく議員らの決議により大麻の生産及び販売が合法化されるのも、今回が初のことだ。これまで嗜好用大麻の販売を合法化した米国の8州は、いずれも住民投票により法案を可決していた。また、ヴァーモント州は今年初め、大麻の所持及び家庭での栽培を許可した9番目の州になったが、大麻の販売は認めていない。
議員連盟NORMLの政治ディレクターを務めるJustin Strekalは、大麻規制の改革が人々の支持を集めていることにふれつつ、次のように述べた。「北マリアナ諸島連邦の市民や議員らは、歴史を変えようとしている。今秋の米国中間選挙を控え、より多くの米国議員らがこの動きに注視すべきだ」
今回、可決された法案には次のような記載がある。「適切な基準のもとで大麻の合法化を行ない、責任ある大人たちの大麻使用を許可した州では、健康や治安、市民らの生活の質が大きく改善したことが確認されている」
議員らは大麻の流通を法の枠組みに取り込み、適切に管理された市場で流通させ、課税することにより、雇用の創出や税収の社会インフラ整備への活用が見込まれると述べている。大麻市場から得られる税収は公立学校の建設や、年金、薬物乱用者の治療プログラムなどに用いられる。さらに、大麻を用いた新たな病気治療の研究や、産業用大麻の市場の創出も期待できるという。
しかし、北マリアナ諸島知事のラルフ・トーレスは、大麻の合法化に対し慎重な姿勢を示しており、次のように述べた。「大麻を合法化した米国の9州では、犯罪の増加が起きていないだろうか? 仮に犯罪の増加があるとすれば、それはどのような種類のものなのか。我々は他の事柄についても検討を行なうべきだ。私自身は公共の安全面での問題を懸念している」
トーレスが法案に署名するか否かは、現時点では分からない。