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2018.08.11

ドラマ「フレンズ」復活への期待と米国社会が失ったもの

(Photo by NBC/NBCU Photo Bank via Getty Images)

女優のジェニファー・アニストンが、出世作「フレンズ」の復活の可能性について非常に前向きな発言をした。

「(ドラマの復活を)夢見ている。『フレンズ』はこれまでで一番素晴らしい仕事だった。今作ったらどうなるかわからないけれど、復活して成功した番組はたくさんある」(米誌「InStyle」9月号のインタビューより)

近年、「ふたりは友達? ウィル&グレイス」、「ギルモア・ガールズ」など、1990年〜2000年代にヒットしたコメディドラマの復活が相次いでいる。

1994年から10年間にわたって放送された「フレンズ」は、若い男女6人が都会で夢を追い、恋に落ち、仕事で一人前になろうともがく姿を描き、社会現象を生み出した。主人公たちが日常的にカフェ「セントラル・パーク」に集まる設定も、コーヒーショップ文化の盛り上がりの一端を担ったと言える。

登場人物たちの再結集を楽しみにしているファンは多い。常にパパラッチに追われ、私生活ばかりが注目されるアニストン本人にとっても、「フレンズ」復活は好ましい話題のはずだ。

しかし、「フレンズ」の世界は現在のテレビで成立するのだろうか?

「フレンズ」は今となっては古き良き、無垢な時代の産物である。復活版はノスタルジーに満ちたものにはなっても、世相を鋭く斬る作品にはならないだろう。

社会は「フレンズ」が放送されていた頃から大きく変わった。登場人物たちの素晴らしく健全なライフスタイルは、今の視聴者には気取っていると受け止められかねない。フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュのコンサートに夢中になり、酔っ払うことを最大の快楽と捉えていた主人公たちは、放送当時の若者の価値観と比べても健全で落ち着いていた。
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編集=海田恭子

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