ビジネス

2018.08.10

武器は「知力」、ペプシコCEOインドラ・ヌーイの12年間の戦い

6月に行われたフォーブスのウイメンズ・サミットでのインドラ・ヌーイ(Photo by Nicholas Hunt/Getty Images)


困難な時期にも成長

そのヌーイの知力は、消費者の好みが世界的に変化し、ペプシコを取り巻く環境が“最も当たり障りのない”言い方をしても「厳しかった」時期、同社の確実な前進を後押しした。

より健康的な食品や食事を求めるトレンドは、社名がまさに「1日当たりの推奨量を超える砂糖を含む飲料」と同じであるペプシコのような企業に対し、商品ポートフォリオの再構築を迫っていた。

ペプシコはヌーイの指揮の下、商品を大きく「楽しみのため」「健康のため」「あなたのため」の3カテゴリーに分類した。10年前には38%だった「楽しみのため」以外の2分野に入る商品(オートミールの「クエーカー・オーツ」やフムスの「サブラ」など)の割合は、2017年末には全体の50%にまで引き上げられている。

ヌーイはこれら2分野に入る商品を増やすため、ほぼ1年おきに数十億ドル規模の食品メーカーを買収した。これらのおかげで、同社の売上高は昨年、前年比1%増の635億ドル(約7兆円)に達した。売上高はヌーイの就任以降、同業他社を上回るペースで増加、80%以上の伸びを見せた。

ただし、当然ながらヌーイにも、大きな注目を集めたいくつかの失敗があった。今年2月にはインタビューの中で、スナック菓子のドリトスについて「女性にとってより魅力的なドリトスの発売を検討している」と発言。多くの人の怒りを買った。「#LadyDoritos」のハッシュタグを付けてペプシコをからかうようなSNSへの投稿は、同社が明確に「性差を考慮したドリトスを開発しているわけではない」と説明するまで続いた。

新CEOは「まさに適任」

ペプシコはトップの交代について、慎重かつ組織的に行った事業承継プロセスの一環だと説明している。ヌーイとその他の取締役たちによれば、新CEOとなるラモン・ラグアルタ社長は、現職に就く前は欧州・サハラ以南アフリカ部門のトップを務めており、まさに2019年以降のペプシコのかじ取りにふさわしい人物だという。ヌーイはラグアルタへの引き継ぎを円滑に行うため、同年初めまで会長職にとどまる。

編集=木内涼子

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